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岩槻総本店
〒339-0057
埼玉県さいたま市岩槻区本町1-3
五月飾りに用いられるお飾りの種類に「鎧(よろい)」「兜(かぶと」「大将(たいしょう)」があります。
江戸時代から始まった節句の五月飾りですが、起源には色々な説があります。
大名家では皐月(さつき)の頃、大名家当主の甲冑(かっちゅう)(鎧兜)を用意する時代がありました。
その鎧を天気の良い日に縁側で干していたところ、町人(士農工商でいう工・商人)の目に留まり、武士の家以外でも“飾りたい”という想いから、製作を試みますが、同じ大きさのものを用意してしまうと、取り締まられてしまうので、小さな鎧兜(甲冑)を製作し、おのおのの家でお飾りにしたことが始まりという説もあります。
次に甲冑(鎧・兜)の説明を行います。
兜(かぶと)では、頭に被る部分の丸い部品を鉢(はち)といいます、
兜鉢(かぶとばち)ともいわれます、余談ですが、運動会などで鉢巻を頭に巻く
と思いますが、その名の由来も、兜の鉢からきているともいわれております。
鉢(はち)には鋲(びょう)のようなものがついているのを見たことがあると思いますが、この鋲は、星(ほし)といわれる部品で、この星(ほし)のついた兜を星兜(ほしかぶと)といいます、それとは違い鉢に筋(すじ)の入っている兜は筋兜(すじかぶと)といいます。両方とも型抜き(かたぬき)された兜でなければ、星や筋をそれぞれ加えるわけですから、手の込んだ兜と言えます。星や筋を留める前に、鉢自体が一枚ではなく何枚かの部品をつなぎ合わせた鉢も存在します、それを合わせ鉢(あわせばち)といいます。
鉢の前側についている飾りを、前立て(まえたて)といいます、前立てには鍬形(くわがた)も含まれますので、兜の前についている飾りは“前立て”といいます。
鍬形(くわがた)の場合、左右対称に鍬の形を模していますので、その鍬形を差し込む部品を鍬形台(くわがただい)といいます。
余談ですが、クワガタムシという虫がいますが、その虫の名前の由来は、この鍬形からきているといわれております。ちなみにカブトムシにおいても甲冑(かっちゅう)の兜(かぶと)の形に似ていることから、その虫の名前の由来となったと、昆虫図鑑で説明されています。
鍬形のついた兜に多く見られているのが、鍬形の間についている前立てに、竜頭(りゅうず)という龍をあしらった形の前立てがついているものです。伝説の生き物である龍をつかうことで、とめどない力がお子様に備わるようにという願いがこめられているようです。
東玉の兜飾りを一部ご紹介します。
商品詳細
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東玉の兜飾り一覧はこちらからご覧ください。
室町時代後期から兜につける前立ても、鍬形の形でないものが多くなります。それは各それぞれの武将が目立つ為に、いろいろな形の前立てが作られました。代表的なものでいうと、伊達政宗(だてまさむね)の三日月の前立てが有名です。伊達政宗についての逸話に、逸話だけに本当かどうかがありますが。大きな前立てを付けることで、相手が恐れおののいて戦わずに逃げて貰うように、大きな前立てをつけたという逸話があります、もともとは、もっとおおきな前立てを付けようとしたのですが、太刀(たち)を振った時に、右側が当たってしまったので右側をおとしたという逸話もあります。
戦国時代、大将は、戦場において、自分の居場所を、敵味方に知らしめる事も重要な要素でした。敵には、自分の存在をアピールして惑わせたり、慄かせたり、味方に対しては、自分がここで見守っているぞと、鼓舞したり。そんな時代の中から、鍬形を大きくしたり、意匠に凝ったりと、色々な鍬形が作られました。その代表が、伊達政宗の三日月だったり、直江兼続の愛の字だったりしたのです。ただ、敵にアピールするという事は、狙われやすいという事で、それだけ、大将は肝の据わった人物だったという事も言えると思います。
説明図には入っていませんが、鉢の両側につける飾りを、脇立て(わきたて)(わいたて)ともいいます。代表的な例として、真田幸村の兜には鹿角(かづの)の脇立てがついていたと大阪城の絵巻には残されています。
兜の前立ての下の部品で、現在の帽子のつばのような形の部品がありますが、この部品を眉庇(まびさし)といいます。この部品はお日様の光を直接見ないようについていますので、現在の帽子のつばと同じといえる部品です。この眉庇(まびさし)から生まれた言葉は眩しいという言葉だといわれております。(“まびさし”がなまって眩しいになった。)
眉庇(まびさし)にくっつく状態で顔部分の両側についているのが吹返し(ふきかえし)です。鎌倉時代は戦の武器が太刀や弓矢でしたので、顔付近に矢が飛んできた際に、それを後ろ側に避けるように大きく作られました。室町時代後期になると戦の武器が弓矢から鉄砲になり、動きやすくするためにこの吹返し(ふきかえし)は小さくなったといわれております。
鉢の下部から後ろ側についている部品を?(しころ)・錣(しころ)といいます。錣(しころ)は何枚かの小札(こざね)を縅糸(おどしいと)でつないだものです。鎌倉時代や室町時代前期のものは、縅糸を細かく入れているものが多いのですが、室町時代後期になると、戦が多くなったため、細かい作業をしていると大量に鎧が作れなくなってしまうので、縅糸を少なくした素掛け(すがけ)縅という錣(しころ)の兜が多くなっていきます。
兜の顎の部分についている紐を、忍緒(しのびのお)といいます。結び方も色々ありますが、戦国時代の兜では、無双結び(むそうむすび)という忍緒の結び方が多く用いられていました。
鎧飾りは、頭を守る兜と胴の部品で構成されています。
先ほどの兜では説明していなかった部品で、鎧飾りになると兜の下に面頬(めんぽう)という部品がつきます。面頬(めんぽう)は顔を守るための武具のひとつです。
胴の部品では、上から両肩についている大袖(おおそで)、その大袖の一番上についている部品を鎌倉時代の鎧であると、障子板(しょうじいた)、室町時代後期の鎧であると、冠板(かんむりいた)といいます。その下には、籠手(こて)という手を守るための部品がついております。
鎌倉時代から室町時代前期の鎧では、大袖の部品の後ろ側を紐でつないでありますが、これを水呑みの糸(みずのみのいと)といいます。これは戦の最中に、水を飲むために川に行った際、大袖が垂れ下がらないようにする為についています。
鎧の胸についている部品で、鎌倉時代の鎧(大鎧)であると左右非対称の部品がついており、鎧から見て左側を、鳩尾の板(きゅうびのいた)右側を栴檀の板(せんだんのいた)といいます。室町時代後期の鎧(胴丸(どうまる))になると、左右対称の部品がついておりますが、これを杏葉(ぎょうよう)といいます。鎌倉時代の大鎧についている鳩尾の板は、心臓(しんのぞう)を守るための板状の部品で、栴檀の板は、弓を弾く際、動きやすいような形状になっております。
鎌倉時代の大鎧の胴の部分は皮で巻いてあり、これを“弦走”(つるばしり)といいます。
その下についている部分(鎌倉時代の大鎧であると前後左右の四枚になります)を、草摺(くさずり)といいます、室町時代後期からはこの草摺の数が増え六枚以上のものになっていきます。これは戦時(いくさじ)の動き方が変わってきて動きやすくするためといわれております。
鎧櫃の蓋に帯で挟み込んであるものを佩盾(はいたて)といいます。
足の部品には脛を守る、脛当(すねあて)、今でいう靴の部品は毛沓(けぐつ)といいます。
東玉の鎧飾りを一部ご紹介します。
商品詳細
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鉢の材料には、銅(どう)真鍮(しんちゅう)アンチモニー、ダイキャストなどがおおく使用されています、軽量化を図るため大型の着用兜では樹脂(プラスチック)が使われております。
小札(こざね)には、鉄、真鍮、銅、紙、革、アルミニウムが使われております。
縅糸・忍緒・房には、絹(きぬ)が使用されております。
金具廻りの金属部品には、真鍮、銅、アルミニウム、アンチモニー、ダイキャストが使われております。
鍬形に多く見受けられるのは、“鍍金(ときん)”これはメッキという意味です。
小札にも同様に鍍金されているものもありますが、金箔押(きんぱくおし)されているものもあります。京物(京都で製作された鎧・兜)におおくみられる技法です。
鎧兜には説明書の代わりに作札に仕様説明のようなものがありますが、その中に白檀塗り(びゃくだんぬり)という言葉があります、これは小札の後ろ側を表とは違う色(茶色のような飴色)に施されているものをいいますが、本来は香木の白檀の漆を用いたものが白檀塗りといいます、これは実際に鎧を着用していた戦国時代に洗濯(あらうこと)の出来ない鎧の臭いを抑えるために施されてきたという技法です。ですので、作札にある白檀塗りは白檀風塗りにするのが好ましいと思われます。
和紙小札(わしこざね)という小札の種類がありますが、これは、和紙を何枚か重ねた板状のものをつなぎ小札の形状にし、漆を塗り固めたものをいいます、現在、和紙を用いて製作している甲冑師はほとんどいないと思われますので、手並べ小札(てならべこざね)が間違いの(嘘の)ない言い方と思います。
いかがでしたでしょうか。実に数多くの細かい部品で甲冑はつくられていますね。名称は特に覚える必要はございませんが、様々な角度から甲冑、端午の節句を楽しんでみるのも良いと思います。近年では、戦国武将を扱ったドラマや刀剣ブームなどでいわゆる甲冑や刀がお子様にとっても身近なイメージとなっています。たくさんの種類の中からお子様とご一緒にお気に入りの兜や鎧を見つけてみるのも楽しいと思います。
ぜひ、端午の節句にはお気に入りのご納得のいく甲冑をお選びください。
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