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岩槻総本店
〒339-0057
埼玉県さいたま市岩槻区本町1-3
『5月5日の準備、済んだ?』
『うん、兜と鯉のぼり飾ったよ』
『なんか、その日に菖蒲湯に入る行事があるらしいんだけど、知ってる?』
『えっ?初めて聞いた―・・・兜を飾るだけじゃないの?』
ママ友の会話が聞こえてきそうです。
現在「こどもの日」として知られる5月5日は、本来「端午の節句」という日本の年中行事で、その由来は古代中国にあります。節句(せっく)とは、「季節の節目となる日」のことで、日本には一年に5回の節句日、「五節句(ごせっく)」が現代に伝わっています。その中のひとつ「端午の節句」は、春から夏へと移りゆく季節の変わり目の行事です。
「端午の日」の行事には昔からの風習が多く残っているのですが、その中のひとつが「菖蒲湯(しょうぶゆ)」です。
この「菖蒲湯」とは、風呂釜の湯の中に菖蒲の葉や根を入れて入る「お風呂」です。
菖蒲の入ったお湯に浸かっていると、菖蒲がもつ独特の強い香りが感じられます。
粉末の「お風呂のもと」などとは違い、「菖蒲湯」は見た目の【薬草感】から健康効果もありそうですし、爽やかな香りでリラックスできる気もしますよね。
しかし実際、菖蒲の葉や根を入れたお風呂にはどういう効能があるのでしょうか?
そして、なぜ「端午の節句」の時期に「菖蒲湯」に入る習慣が生まれたのでしょう?
この記事では、現在も続く「菖蒲湯」の由来、そして「菖蒲湯」に期待できる健康効果について見てみましょう。
「菖蒲湯」の由来は、古代中国で始まった「端午の節句」の風習にあります。
その頃の「端午の節句」は、邪気や魔物をはらう「厄祓い」の行事でした。
「端午の節句」のある「旧暦の5月初め(現在の6月初め~中旬)」は梅雨の季節にあたりますが、中国でも長雨の時期になります。
当時の中国の人達は、この季節に起こる大雨による被害や病気の流行、更にはものが腐りやすいといった事は、すべて「邪気や魔物の毒気のせい」と考えました。
ですから、その強い香りから「邪気を祓う」効果があるとされた「菖蒲」や「よもぎ」などの薬草を摘んで飾ったり、菖蒲酒にして飲んだり、葉や根を束ねてお風呂に入れる「菖蒲湯」に浸かったり、といった風習が生まれたのです。
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中国の「端午の節句」の風習は、日本へは奈良時代に伝わったと言われています。
それ以前から日本には、5月のこの時期には年若い「早乙女(さおとめ)」が田植え前の「みそぎ」として「菖蒲」で身を清める「五月忌み(さつきいみ)」という行事がありました。
早乙女たちは刻んだ菖蒲の根を浸して作った「菖蒲酒」を飲んで、その身を清めました。
そういった習わしが中国から伝わった「端午の節句」と結びつき、日本で菖蒲を使った様々な風習が生まれていったようです。
日本でも季節の変わり目で病気になりやすかったこの時期は「毒月」とも呼ばれ、昔の人は野で摘んだ菖蒲やよもぎなどの薬草を食して「毒を祓おう」としていたと言われます。
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奈良・平安時代の貴族たちは、「厄除け」のために「菖蒲」を軒先や屋根に飾ったり、菖蒲の葉を球形に編んだ中によもぎなどの薬草を入れた「薬玉(くすだま)」を作って吊るしたりしていたそうです。
鎌倉・江戸の武家社会では「端午の節句」に「菖蒲の葉」を「刀」に見立てて飾り、「菖蒲」を「尚武(しょうぶ)」と語呂合わせして、「菖蒲(尚武)の節句」を盛んにお祝いしていたと言われます。
鎧などに型どった「菖蒲紋」や「鱗(うろこ)紋様」は厄除けの象徴だったといいます。なお、菖蒲の色「浅黄色(あさぎいろ)=ネギ色」も「厄除け」を表し、衣装などに使われていたといいます。
江戸時代の庶民の子供たちの間には、編んだ菖蒲の葉を地面に打ちつけて音の大きさを競い合う「菖蒲打ち」という遊びもありました。
「菖蒲綱引き」という競技もあり、今でも兵庫県の新温泉では「旧暦の端午の節句(6月初め)」に毎年行われています。
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奈良時代に生まれた「菖蒲酒」は、細かく刻んだ菖蒲の根を浸して作った「お酒」でしたが、それとは別に菖蒲の根を煎じて飲む「菖蒲湯というお茶」もありました。
これが現在、菖蒲の葉や根を湯に入れて入る「お風呂の菖蒲湯」の由来となっているとも言われます。
更には、本来の「菖蒲湯」は、菖蒲の葉や根を束ねて直接お風呂に入れて沸かすものではなく、5月4日の晩に枕の下に菖蒲をしいて「菖蒲枕」として使ったものを、5月5日にお風呂の湯に浮かべて【無病息災を願って入浴する】ものだそうです。
「端午の節句」の由来を見ると、菖蒲が昔から中国でも日本でも「薬草」として使われてきたことが分かります。
ここでは、植物としての菖蒲、そして漢方医療にも使用される菖蒲のもつ効能を見てみましょう。
「菖蒲」は「サトイモ科」の植物で「あやめぐさ」とも呼ばれます。
葉の形が似ているのでよく混同されますが、紫色の美しい花を咲かせる「アヤメ科」の「花菖蒲」や「あやめ」とは違う植物です。
紫色のアヤメ科の「花菖蒲」の方は、端午の節句の五月人形の脇飾りとして目にすることもあると思いますが、こちらの植物は「菖蒲湯」には使われません。
「菖蒲湯」に使用するサトイモ科の花はまるで異なり、黄色くて猫じゃらしのような形をしています。
葉っぱで区別する場合は、葉元が赤くて中脈は表裏とも1本なのがサトイモ科の菖蒲です。
それより何より特徴的なのは、菖蒲湯に入れる菖蒲には強く独特な芳香があることかもしれませんね。
「端午の節句」の時期になると、花屋やスーパーなどの店先で菖蒲の葉や根を束ねたものが売っています。
それをお風呂に入れて「菖蒲湯」にして入ると、血液循環を促して身体を温め腰痛や神経痛をやわらげる効果があるとされています。
昔から「菖蒲酒」や「菖蒲湯」として飲まれてきた菖蒲は、現在の漢方医療でも広く使用されています。
実は菖蒲には血行促進や保湿効果が期待できるだけでなく、解毒作用もあるそうなのです。
おそらく昔の人は経験で、そういった菖蒲の効能を知っていたのではないでしょうか。
菖蒲湯は強い香りがしますが菖蒲に含まれる成分に刺激はないので、赤ちゃんや肌が弱い方でも入浴は可能だといいます。
ですから「端午の節句」には、ご家族みんなで「菖蒲湯」に入ってみるのはいかがでしょう?
赤ちゃんの血行促進にも役立ちますし、育児でお疲れ気味のご両親には疲労回復の助けにもなりますよ。
「菖蒲湯」は、肩こりや腰痛でお悩みの方や冷え性などの体質改善をしたい方にもおすすめです。
薬湯の作り方は、菖蒲の根や茎や葉を小さく刻み、適量の水で煮沸させるという簡単なものです。菖蒲に含まれている精油成分には、痛みを和らげる効能がありますので、これを入浴に使用すると、前述のとおり、神経痛、腰痛、肩こり、リウマチ、不眠症に効果があるといわれています。また、菖蒲の香りは、自立神経を安定させるアロマテラピー効果もあり、身体だけでなく気持ちもリラックスできるという優れものなのです。
こどもの体を守るという意味では、五月人形も同じ願いが込められています。東玉では端午の節句に飾る五月人形を豊富に取り揃えておりますので、ぜひこちらよりご覧ください。
商品詳細
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健康効果があるとされる「菖蒲湯」ですが、実はその香りにも秘密があるのです。
菖蒲の葉や茎、根に含まれる芳香のある精油成分にはリラックス効果があるということで、菖蒲は「アロマテラピー」にも活用されているのです。
菖蒲のアロマ効果をより感じたいのなら、次の方法をお試しください。
1.菖蒲の葉(根)を2㎝くらいに刻む
2.刻んだ菖蒲をネット等に入れて洗面器に入れる
3.洗面器に入れた菖蒲に熱湯を注ぎ、10分程蒸らす
4.菖蒲を洗面器のお湯ごとお風呂に入れる
菖蒲の葉や根をそのまま入れるのではなく、細かく刻んで熱湯で蒸らすことで、より成分が抽出されやすくなります。なお、葉っぱよりも根茎部分の方が香りが高くなります。
もちろん、少し高めの温度でお風呂を沸かし、そこに刻んだ菖蒲の葉(根)をネット等に入れても「菖蒲湯」になります。
さわやかな香りが立ち昇り、より一層リラックス効果が得られる事と思います。
いずれの方法でも、お風呂は少し熱めに沸かした方が、菖蒲の香りや薬効がより引き出されるようです。
ただ、お子さまも入浴する場合にはあまり熱くできないので、洗面器を使って成分を抽出してからお風呂に入れる方法をおすすめします。
千年前に記された「枕草子(まくらのそうし)」にも、5月の節句と菖蒲について書かれているのをご存じでしょうか?
「せちは五月にしく月はなし」
と、清少納言は褒め称えます。
「菖蒲蓬などのかをりあひたるもいみじうをかし」。
菖蒲やよもぎの爽やかな香りを、彼女は大好きだったようですね。
「若い人々は邪気除けのために菖蒲で飾った刺し櫛を髪に挿したり・・・青い紙に菖蒲の葉を細く巻いて結んだり、白い紙を菖蒲の白い根で結んだのも趣きのあるものだし、菖蒲のとても長い根が手紙の中に入っているのを見るのも味わい深い」(『くすり歳時記』)
と清少納言は活写しています。
このように「菖蒲」には、その邪気祓いとしての由来や薬草としての効果だけでなく、昔から「見た目や香りで季節感を楽しむ」意味合いもあったんですね。
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伝統行事には様々な意味や人々の思いが込められているものです。
「端午の節句」の由来から、昔から「菖蒲」が日本人に親しまれてきたことが分かりましたね。
5月5日に入る「菖蒲湯」も、季節のものを愛で、感じる心を育んでゆくという日本文化のひとつですね。
お子さまの情操教育とご家族の健康促進、そしてリラックスを兼ねて是非みなさんで「菖蒲湯」に入ってみてください。
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