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岩槻総本店
〒339-0057
埼玉県さいたま市岩槻区本町1-3
ひな祭りに飾る雛人形には大別して衣裳着人形と木目込人形という種類があります。なかでも昔からよく飾られている豪華な七段飾りは、衣裳着人形で構成された段飾りのお雛様です。専門店でも取り扱いが減少傾向の段飾りですが、お人形を15人も飾りつける(中には17人飾りもあります)、とても立派なお雛様です。七段飾りは価格も比較的高額で送料の負担や飾る時間や手間がかかるセットですが、日本の伝統文化を学ぶには最適な雛段飾りです。現在は季節の関連商品で、一刀彫や焼き物や縮緬で作られた小さいサイズの七段飾りも喜ばれています。
一般的に七段飾りのお人形は親王、三人官女、五人囃子、随臣、三人仕丁を飾ります。お道具も最上段のお殿様・お姫様の間に三宝を、お人形の左右には雪洞を飾り、お人形を引き立てる屏風をうしろに飾ります。上から二段目の三人官女の間に置いてある高杯、上から四段目の老随臣と若随臣の間に置いてある菱餅と菱台、お膳(掛盤膳揃とも言う)、三人仕丁の両脇には桜橘が飾られています。
下から一段目、二段目は嫁入り道具が飾られます。茶道具、衣装袋、火鉢、針箱、対鏡、箪笥、長持ち、お駕籠、御所車、重箱などが飾られます。七段飾りでは一般的にお道具の種類は16種類になります。
現在では、住宅事情の変化により人形を飾るスペースや収納場所の事、飾る手間やしまう手間などを考えて、雛人形もよりコンパクト・ミニサイズになってきており、七段飾りよりも親王飾りや五人飾り(三段飾り)、収納飾り、ペットがいても安心なケース飾りなどに人気があります。
コンパクトになる分、人形の数も七段飾りより少なく、雛道具の飾るアイテムも減少し、それだけ雛道具も少なくなります。親王飾りでは、屏風、雪洞、菱餅、三宝、桜橘、そして飾り台で立派に飾れます。五人飾りでは親王飾りの雛道具に高杯、重箱、お駕籠、牛車、そして三段があれば十分立派に五人飾りが飾れます。
ですから親王飾りでは、少なくとも6アイテムの雛道具、五人飾りでは9アイテムの雛道具で飾れます。実際には、仁孝天皇の第8皇女和宮が江戸幕府14代将軍徳川家茂に嫁ぐ際に婚礼道具として、幕府側が用意した黒塗葵紋葉菊紋散蒔絵眉作箱があります。現代でいえば化粧箱みたいなものです。
最上段の女雛と男雛の間に飾る道具を三宝飾りと言います。瓶子(徳利のような形の金属や陶器で出来た物)に口花という造花を挿し、三宝に乗せた物です。諸説ありますが口花の花は、桃の花が一般的です。紅白の梅であったり紅梅であったり桜の場合もあります。花を受ける白紙には金銀の水引が付いている物が多いようです。
「たかつき」と読む道具です。三人官女・中央の官女の両脇に飾る物になります。一般的には高く足を付けた丸いお皿です。最近では丸皿ではなく四角型のお皿もあります。お菓子などを供える器で一対にして用いられます。高杯と書く事もあります。ひなパーティーなどの時はお子様と高坏にひなあられを飾ってお楽しみください。「お供え」をして「食べて」「楽しむ」。これがお節句に大切なことです。あらゆる節句行事に通ずる意義と言えるでしょう。
下から4段目に老随臣と若随臣の間に飾るもので、御膳と菱台といいます。
御膳には【蝶足形膳】と【掛盤膳】があります。蝶足形膳は、雛のお膳で一般に用いられる蝶足形のお膳です。掛盤膳は、お膳の高級品の型です。これに湯桶(ゆとう)、飯櫃を付けた場合は、両つぎ付きといいます。お膳の揃いのなかで一般的なお椀の飾り方は、正面上から見て中央―腰高(高杯)、右上―平椀(おひら)、下右―汁椀、上左―壷椀(おつば)、下左―飯椀、このようなお飾りになります。地方によっては飾り方が変わる場合もあります。
ちなみに赤ちゃんのお食い初め儀式には、男の子は内外ともに朱色の御膳を使い、女の子には内が黒色で外が朱色の御膳を使います。ですのでお雛様には黒色の御膳で飾るのですね。
菱台には【猫足菱台】と普通の【菱台】があります。菱台は菱餅を供える菱形をした台です。一般的に一対で用いられます。猫足菱台は菱台の脚を猫の足のように模った菱台です。菱餅は三層から五層の色で積み重なって出来ています。白は雪、緑は新芽
、ピンクは桜、黄色は月、赤は太陽を表現しています。
三人仕丁の両脇に飾られている桜橘は、京都御所の左近の桜、右近の橘をかたどったものです。向かって右に桜、左に橘を飾ります。棚の中に植えた桜と橘の造花です。
葉の材質も正絹を緑に染色して製作するものや、幹も昔は藁に新聞紙を巻いて着色して製作していましたが、今は本木(本当の木)で製作して付加価値を高めている物も現れてきています。井垣も昔は樹脂の井垣が主流でしたが今はほとんどが木製で作られています。
嫁入り道具とは、結婚するときに女性がその後の結婚生活に困らないように持っていく家財道具のことです。 「嫁入り」という言葉は、最近はあまり使わなくなりましたが、昔は結婚すると女性が男性の家に入ることが一般的でした。 そのため、昔は結婚を嫁入りと呼んでいました。
嫁入り道具は、箪笥、挟箱、長持ち、対鏡、針箱、衣装袋、茶道具、お駕籠、重箱、御所車の事を言います。箪笥、長持ち、挟箱の三種一組で三つ揃いとも言います。御所車は、昔の貴人が使用した乗り物で、牛を付けたものを牛車と言います。今で言い換えるのならタクシー、といったところでしょうか。
お駕籠は昔の大名あるいは高貴な女性などが使用した乗り物で、黒の漆塗りに美麗な蒔絵を施しているのが多いです。
昔は、雛道具には本金蒔絵を施した高価な嫁入り道具が、駿河(静岡)でたくさん製作されていましたが、今は七段飾りが減少した為その需要が激減して、また蒔絵師も高齢化で少なくなり、技術の伝承もままならない状況です。お道具関係も海外からの輸入品もあり、またグレードも高くなってきていますので、国産でお道具製作に携わる職人の環境はより厳しくなってきています。
最近の住宅事情で、飾る場所が少ない、収納する場所がない、飾る手間が大変などという理由で豪華な七段飾りより、親王飾りや三人官女まで付いた五人飾りが人気です。
親王飾りでは、一般的に親王の後ろに飾るお屏風、親王の脇に飾る雪洞、親王の前には菱餅(貝桶の場合もあります)、男雛と女雛の間には三宝、雪洞の前には、向かって右に桜、向かって左に橘(紅白梅を飾る場合もあります)を飾ります。貝桶は、近世 お嫁入道具のなかで第一の調度品とされていました。
五人飾り(三段飾り)では、一般的に親王の後ろに飾るお屏風、親王の脇に飾る雪洞、親王の前には菱餅(貝桶の場合もあります)、男雛と女雛の間には三宝、下から一段目の両脇には、向かって右に桜、向かって左に橘(紅白梅を飾る場合もあります)を飾ります。
また桜橘を挟んで中央に重箱、その右は御所車、左にはお駕籠を飾ります。親王飾り、五人飾り、七段飾りで飾るお道具が異なる場合があり、木目込み人形の場合でもお道具が異なる場合があります。
飾り方の取扱説明書も、購入したひな人形が届く際に無料の冊子がついてきます。並べ方に戸惑いがあるのは皆いっしょです。まずは取り出す前に収納された状態で写真を撮っておくことが飾り付け・収納時の時間短縮のポイントです。
雛人形は形状からも種類が多く、必ずしも決まった雛道具を飾らなければならないと言うわけではありません。最近ではその雛人形に合わせたお道具を使って、雛人形飾りにしています。
従来の御道具に代わる、おしゃれでかわいいものを多く見かけるようになりました。親王飾りを購入した方も、毎年ひとつずつお道具を買い足していき、「自分だけの雛人形」を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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