岩槻の伝統的工芸品・江戸木目込人形
日本には様々な種類の人形があり、各地で伝統とともにその技術が引き継がれております。その中で節句人形(雛人形・五月人形)はいちばん身近に感じることができる
日本人形ではないでしょうか。それは『ひな祭り』・『端午の節句』という歴史ある
行事にかかせないものとなっているからだと思います。
雛人形・五月人形をただ飾るという行為ではなく子供の未来を願っての祈りの行事はその時々の世代に受け入れられ、引き継がれてきたのでしょう。それにともない各地の節句人形にかかわる作り手たちもそれぞれの家庭に少しでも良いものを届けるために技術を向上させてきました。
私ども東玉も同じように人形の産地岩槻で伝統を受け継いでまいりました。その一部をお話させてください。
人形の産地岩槻の歴史
今から300年ほど前、日光東照宮大修理のおりに岩槻で病を療養した仏師が回復後もとどまり人形づくりを伝えたことが岩槻人形のはじまりといわれております。
明治初期には、農閑期地元工人が作っていた節句人形と士族が内職で作っていた人形の技術が合わさり、雛人形が本格的に製造され始めました。その後生産拡大の一途をたどり、日本有数の節句人形の生産地になるまでに成長しました。
『岩槻人形』は平成19年には国の伝統的工芸品に指定され、それ以前から指定され生産していた 『江戸木目込人形』とともに岩槻の重要な人形のひとつとなっております。人形のお顔も岩槻の主力商品であり国内で生産されている節句人形のお顔の大部分が岩槻から出荷されるまでになりました。
東玉の歴史
嘉衛年間(ペリー来航の頃)岩槻藩の藩医であった戸塚隆軒は人形づくりを趣味にしていました。あるときその人形を藩主に献上したところ斬新な作風にいたく感動され、当時有名だった京の人形師にたいして「東国における人形づくりの王様」という意味で『東王』の名をたまわりました。しかし隆軒は王では恐れ多いということから王に点をつけさせていただき『東玉』と号しました。
二代目も医師のかたわら人形製作をたしなみ、三代目の貞造に引き継がれました。そして四代目の巌にいたっては、幼少の頃から年季奉公に入り、人形づくりが本業となり健蔵、隆とつづき、現在の七代目戸塚大介にいたります。
岩槻の江戸木目込人形
岩槻の主力商品のひとつである木目込人形の歴史は古く、1739年京都の上賀茂神社に仕えたものが木彫りの人形に古い衣裳を貼ったのが始まりとされ、その後賀茂人形と呼ばれ受け継がれ、昭和に入ると現在の木目込人形と同じ、桐の粉とのりを混ぜ合わせ型から抜いたボディに溝を掘りそこへ裂地をはさみこむ製造方式となり、量産が可能となりました。
衣装を着せて作る衣裳着人形は、豪華なお衣裳に綺麗なお顔が特徴なのに対して、木目込人形は、趣きのある造形のボディと可愛らしい丸いお顔が特徴です。
江戸木目込人形は昭和53年2月6日に国の伝統的工芸品に指定され、岩槻(現:さいたま市)も製造地域に含まれました。
東玉では昭和39年の春に当時東京で活躍されていた鈴木賢一氏を東玉工房に招き、数々の作品を生み出し人形業界において認められることとなりました。
平成22年の鈴木賢一氏没後は『東玉工房・賢一』として賢一氏の技と魂を受け継ぎ数々の人気作品を現在もつくり続けております。
喜久絵の雛人形を一部ご紹介します。
- 木目込人形 喜久絵 親王飾り「愛々B」
木目を生かし、洋室にも飾って華やかなおひなさま。小さくても目に留まるかわいらしいひな飾りと一緒に写真を撮って毎年の思い出をかさねていってください。
- 木目込人形 喜久絵 親王飾り「柑愛B」
お人形と飾り台の丸い曲線がかわいらしいお雛様。優しい色合いの衣裳と可愛らしいお顔は喜久絵作の『桜華雛』ならでは。白い衝立の中央には春らしい小花をあしらい、おとのさまとおひめさまをいっそう引き立てます。
商品詳細
- 木目込人形 喜久絵 収納飾り「真愛A」
可愛らしいアイボリーとピンクの収納箱に喜久絵作『桜華雛』をセットしました。優しいお顔にあわせ厳選された衣裳の木目込人形は見るほどに愛着がわきます。つるされた青い桔梗のつまみ細工がいっそう人形を引き立てます。
商品詳細
- 木目込人形 喜久絵 親王飾り「桜子」
思わず笑みがこぼれる表情の愛らしさが喜久絵のひな人形の一番の特徴です。丸みを帯びたお顔と造形、衣裳は華やかな金彩友禅を身に纏っています。飾り台と屏風は、材料に桐材を使用した65?間口の豪華なセッティングです。
商品詳細
ゆかりの雛人形を一部ご紹介します。
- 木目込人形 ゆかり 親王飾り「遊姫A」
まるでお花畑のなかでひな祭りをお祝いする。華やかでかわいらしい風景を表現したおひなさまです。花の冠をそえたお姫様は、春色の正絹衣裳を身にまとったこだわりの逸品です。リビングなど洋室にぴったりなひな飾りです。
商品詳細
- 木目込人形 ゆかり「遊燕」
晴れの日を祝う家族の風景をモチーフにしたゆかり作「遊彩シリーズ」。生まれてきたばかりの赤ちゃんを抱っこしているお殿さまの姿は、まるで「育メン」。かわいらしい赤ちゃんへの優しい眼差しはこれからのすこやかな成長と幸せなご家庭を想像させてくれます。
商品詳細
賢一の雛人形を一部ご紹介します。
- 木目込人形 賢一 親王飾り「以和喜 龍村裂」
鈴木賢一の高級コンパクト親王飾り「以和喜雛」可愛いお顔と造形が特長のおひなさまです。殿は凛々しく、姫は優しいお顔の表情に仕上げました。鋭角に跳ね上げられた袖口、丸く突き出した膝が賢一独自の造形です。「和を以って、喜びと成す」と言う言葉より「以和喜雛」と命名いたしました。本品の衣裳は、皇室ゆかりの「京都龍村美術織物」を使用いたしました
商品詳細
- 木目込人形 賢一 立雛飾り「寿々喜雛 祥 黄櫨染」
賢一の優れた造形の立雛 『寿々喜雛』 親王は飛翔する優雅な鶴の姿を表現し、他に類をみない独創的な創作造形です。 親王の衣裳は、天皇にだけ着用が許される『黄櫨染』(こうろぜん)。令和即位礼の際にも見られ、まさにおひな様で最も格式あるたたずまいです
商品詳細
- 木目込人形 賢一 立雛飾り「寿々喜雛 祥 龍村裂」
龍村美術織物の中でも代表的なおしどり柄を使用した衣裳に、《研ぎ出し》の技法を施したパノラマケースでお飾りいたしました。
商品詳細
木目込人形は木彫りがルーツであるため、独特の造形をつくりだす直線や曲線の美しさが一番のみどころで、それこそがいつの時代も新しさを感じお客様に受け入れられる理由だと思います。東玉では木目込人形の特徴でもある造形美を探求しつつ、使用する裂地(織物や友禅)の美しさをより良く引き出せるように柄の配置や色合わせについて何度も試作をかさねたうえで自信を持って提供できる商品を製作しております。
『東玉工房 賢一』では「賢一」「喜久絵」「ゆかり」の雛人形のシリーズに加え五月人形「端午木目込」などたくさんの人形を思いを込めて製作しお客様のもとへ送り届けております。伝統を受け継ぎながら未来へチャレンジし続ける東玉工房の作品をぜひ一度ご覧下さい。