ひな祭りの白酒は子供に飲ませて大丈夫!?

ひな祭りの白酒は子供に飲ませて大丈夫!?

ひなまつりの代表的な歌に「うれしいひなまつり」が有ります。「あかりをつけましょぼんぼりに おはなをあげましょもものはな」で始まる、サトウハチロー作詞の有名な歌です。ひな祭りが桃の節供と言われている事を、如実に物語っている歌詞ですね。

又、三番の歌詞に「すこししろざけめされたか あかいおかおのうだいじん」とあります。
ひな祭りと言えば「しろざけ(白酒)を飲む」という文化が定着していることがわかりますね。
近年、「白酒と甘酒は同じ?」とか「白酒はひな祭りに付きものだから子供も飲んで良いの?」などと質問される事があります。ここからはどうしてひな祭りに白酒が飲まれるようになったのかなど、白酒について説明したいと思います。

そもそも日本のお酒の歴史は古く、古墳時代に始まります。万葉の頃には「白酒(しろき)」「黒酒(くろき)」「清酒(すみさけ)」「濁酒(にごれるさけ)」「赤酒(あかき)」等、様々な種類のお酒が誕生しました。「おみきあがらぬ神はなし」と俗説にあるように、お酒は神事・祭事には欠かせないものとなっていました。荒れる神を鎮め、和神(やわらぐかみ)を迎える為にお酒を供え、人々も飲んで神と人とが仲良くなる。

それは祭りに参加した人々・家族が心を開き、相むつみ、結束することに繋がるのです。上巳の節供・ひな祭りにも白酒・甘酒は欠かせないとされてきました。しかしながら、「白酒」と「甘酒」は文字通り「おさけ」で、しかもこの二つは全く違うものなのです。「白酒」や「甘酒」を用意したり、飲むときには注意が必要なので、良く覚えておいて下さい。また白酒という言葉は、読み方を間違うとと全く違うお酒を指すので注意しましょう。(しろき)(はくしゅ)(パイチュウ)などの読み方がありますが、中でもパイチュウは中国発祥のお酒で世界三大蒸留酒に挙げられています。しろざけ感覚で飲みには注意が必要です。東玉の雛人形を詳しく見る:雛人形TOPはこちら東玉の雛人形を詳しく見る:雛人形TOPはこちら
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ひな祭りにはなぜ白酒を飲むのでしょうか?

季節の変わり目に行われる節供行事は、「お清め」「お祓い」の為に、神に季節の食べ物やお酒を供え、一緒に食して過ごす風習です。日本の五節供の一つである上巳の節供(別名桃の節供・ひな祭りと女性の節供)も同様です。厳しい冬が終わり、雪が溶け、新芽が息吹き、花々が咲き始める季節です。

古来中国ではこの時期に咲く桃の花を、仙木として大事にしていました。仙木とは、神仙に力を与える樹木である桃の呼び名で、邪気を祓い不老長寿を与える植物として親しまれていたのです。桃で作られた弓矢を射ると悪鬼よけとなり、畑に桃の枝をさすと虫除けになると信じられていました。桃の木で札をつくり、吉祥の文字を書いて門戸に付けたりしたそうです。

この思想が日本に伝わると、上巳の節供(桃の節供)には、「桃の花をお酒に浮かべて飲めば、害を除き健康になる」という風習になり、ひな祭りには桃の花を浸した「桃花酒」が欠かせないものとなりました。そしてそのお酒には、桃色をきれいに引き立てる、色の白いお酒・「白酒」が使われていたのです。

江戸時代に一層ひな祭りが盛んになると、益々「白酒」を飲む風習が広まりました。その一因を作ったのが「豊島屋」の店の店主で、「夢枕に紙雛(神雛)が立って白酒の作り方を伝授された」として桃の節供の前に売り出すと大評判になり、一気に広まったそうです。当時の女性は普段からお酒を飲む習慣がありませんでした。そのため、「白酒」はひな祭りに飲む女性のお酒として定着したのです。

ひな祭りに飲む「白酒」と「甘酒」は別のモノです!

ここでは「白酒」と「甘酒」についてお話しします。「白酒」は万葉の頃よりあるお酒と前段で説明しました。

「白酒」の作り方は、みりんをベースに蒸した餅米に米麹(こうじ)を入れて数ヶ月寝かせ、出来たもろみを石臼で細かく引いて造ります。アルコール分は約7%で、分類的には「酒類リキュール」に入ります。当然大人の飲み物です。未成年者にはお酒を飲ますことは出来ない為、「白酒」の代わりに「甘酒」が登場するのです。その「甘酒」にも、アルコールを含むものと含まないものの2種類があります。アルコールを含まない「甘酒」はご飯などに米麹(こうじ)混ぜて保温し、お米のデンプンを糖化させて作ります。一晩寝かせただけで出来るので「一夜酒」(ひとよざけ)とも言われ、アルコール分がほとんど含まれないため、家庭で作っても大丈夫です。

つまり大人用として「白酒」、子供用としてアルコール分の無い「甘酒」が飲まれる様になったのです。一方アルコールを含む「甘酒」は酒粕を使って、砂糖を入れて溶かしながら作られるため、アルコール分の高いものは約8%にもなります。大人はこのアルコール分のある「甘酒」も「白酒」と同じように楽しむようになり、どちらもひな祭りに欠かせない飲み物になったのです。

ひな祭りに子供に白酒を飲ませても大丈夫なのでしょうか?

このように「白酒」と、アルコールを含む・含まないという2種類の「甘酒」が有ることを知っておいて下さい。つまり、ひな祭りで「白酒」やアルコールを含む「甘酒」を飲めるのは大人の方だけで、未成年者・子供には、アルコールを含まない「甘酒」を用意することが必要です。ただし、どちらも飲み過ぎには注意して下さいね。

ひな祭りは桃の節供ですから、邪気を祓う桃の花を浮かべて飲む事が、歴史的にも、上巳の節供の意義からも、そしてなにより風流で見た目の美しさからもお薦めです。

ひな祭りに欠かせない菱餅も、雪(白いお餅)の下に新芽(綠のお餅)が芽吹き、雪の上に桃の花(ピンクのお餅)が咲いているという意味があります。冷たい雪が残っていても桃の花は力強く咲く、生命力の強さを称えているのです。ひなあられも白・緑・ピンクの色が使われていますよね。そんな意味合いを話しながら、「白酒」「甘酒」で楽しいひな祭りを、家族揃ってお祝いして下さい。

まとめ

以上のように「白酒」や「甘酒」は、ひな祭りに欠かすことの出来ない食文化です。
前述しましたように、今のような医療が発達していない江戸時代は、季節の変わり目に、疫病が流行り、特に小さい幼子の命もあやうくする時期でもありました。ひな人形を飾るのもお子様への災いや病気を人形に身代わりに背負ってもらいたい親の願いが込められていました。現代では医療も発達しており昔よりは心配することが少なくなりましたが、子供を想う親の愛情に変わりはありません。

薬効成分を多く含む桃の木、その成分を少しでも体に取り入れる事で健康になり、次の季節を迎えるという文化は、四季豊かな日本にしかない伝統行事です。ひな祭りのお祝いに「白酒」や「甘酒」を飲みながら、昔の人々の生活の知恵をお楽しみ下さい。

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