雛人形はほとんどの期間を箱の中で過ごしますから防虫剤で守ってあげましょう
防虫剤について、皆様ご心配ではありませんか?ここではその防虫剤について詳しくご案内したいと思います。
雛人形を一年のうち10カ月以上も保管するにあたり、最も気を付けなければならないことは、湿気と人形の衣裳をはじめとする繊維を好む害虫に注意することです。
住宅の気密性が昔より上がったことから、衣類につく虫の被害は気を付ければかなり予防することができますが、逆に湿度の高い安定した温度の環境は害虫の繁殖を助長することになります。
毎年安心して雛人形を飾るためには、人形用防虫剤(「わらべ」など)がおすすめです。
防虫剤には殺虫効果はありませんので、雛人形を長期保存するためにはあらかじめ正しく防虫剤を使い、害虫を寄せ付けないようにしましょう。防虫剤を使用する場合は必ず人形用をお使いください。(他の防虫剤との併用はお避け下さい)防虫剤がお人形やお道具に直接触れないようにティッシュペーパーなど包み、箱の隅に少量お入れください。(入れすぎはお人形に良くありません。)
雛人形を防虫剤で守りましょう
防虫剤を考えるとき、まずは雛人形に害を与える虫の種類、どんな部位にどんな害を与えるのかを知りましょう。
人形に害のある虫の種類としては、小さな蛾(イガ、コイガ)、小さな甲虫(ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ)の幼虫があげられます。
この虫たちは特別な場所にいるのではなく、家の周りのどこにでもいる虫です。
外出したときの上着やペットの毛に付いて家の中に入ってきたり、洗濯物に付いたままタンスの中に入ってしまったり、日常どこからでも入ってくる虫です。
押入のように暗くて暖かい場所を好み、成虫になると明るい外に飛んで行きます。
今の住宅環境ではエアコンなどの使用で室温が安定しているため、一年中虫の心配をしなくてはなりません。
この虫たちの幼虫は、衣類などの繊維を食べ、特に人形の衣裳や髪の毛、雪洞の火袋など絹糸を使っているものを食べて穴を開けたり、衣裳やお道具の接着に使う糊のデンプンを好みます。
人形用防虫剤を使用して、害虫から人形を守って下さい。
防虫剤の組み合わせに注意!
人形用防虫剤の種類には、ナフタリン製剤、パラジクロルベンゼン製剤、樟脳(しょうのう)製剤、ピレスロイド系と4種類あります。
いずれも人形用として衣料用防虫剤各メーカーから出ています。
ただし、今年はこのメーカーの防虫剤、来年は別のメーカーの防虫剤など、同じ薬剤成分どうしのものでも、併用はやめて下さい。人形や収納箱に前の防虫剤の成分が残っているだけで、化学変化を起こしてプラスチックを溶かしたり、金属を変色させたり、人形にシミがついたりすることがあります。
防虫剤の併用が難しいことから、一年目に使ったものと同じものを翌年も使うことをおすすめします。
前の年に使った防虫剤の成分を忘れてしまった場合は併用可能のピレスロイド系のものを使って下さい。
各成分の防虫剤の注意点は次の通りです。
・ナフタリン製剤-有臭。他の防虫剤との併用不可。
・パラジクロルベンゼン製剤-有臭。他の防虫剤との併用不可。
(道具や小道具のプラスチックを溶かしてしまう可能性あり。)
・しょうのう製剤-有臭。他の防虫剤との併用不可。
(プラスチック、木製品の塩化ビニール系のコーティングに影響。)
・ピレスロイド系(成分名エムペトリン、プロフルトリンなど)-無臭。
他の防虫剤との併用可だが、入れすぎると金属変色の可能性あり。
防虫剤の使用で注意する点は、薬剤を入れすぎないことと人形や道具に直接触れないようにすることです。防虫剤を入れすぎると人形にきつい臭いがついてしまったり、一度気化した薬剤が結晶化して人形に付着する例などもあります。
防虫剤は人形を収納する箱のなるべく上の方へ置き、人形の衣裳に触れないようにします。濃い気化した薬剤が金糸銀糸を変色させないためです。
箱の隅に入れる場合は(道具の箱に入れる場合も)ティッシュペーパーなどに包んで入れて下さい。
防虫剤によってはカビの抑制効果や除湿成分の入ったものもあります。防虫剤の箱に書いてある使用上の注意をよく読んで、用法用量に注意して下さい。
防虫剤の他の注意事項
雛人形をしまう時は、天気の良い湿度の低い日を選んで下さい。防虫効果の他にもカビの予防にもなります。
羽根はたきなどで人形とお道具についたホコリを良く払ってからしまって下さい。
(人形のお顔にははたきをかけないで下さい。汚れが付いて取れなくなります)
ホコリに混じっているかもしれないダニや虫の卵を落とすことも期待できます。
羽根はたきは人形とは別に保管して下さい。羽根はたきにも虫がつくことがあるからです。
人形は湿気を嫌います。日陰で乾燥した場所(湿気の少ない納戸や押し入れの上段など)に保管して下さい。
防虫のためだけでなく、多過ぎる湿気は人形の劣化を早めたり、衣裳やお顔の黄ばみの原因になります。
小道具、電池などの細かい部品はビニール袋に入れたり、小箱に入れたりして無くさないようにして下さい。
防虫剤の影響を防ぐ効果もあります。
特に注意して欲しいことは、人形のお顔を素手で触らないようにすることです。
人形のお顔は手油を嫌います。シミの原因になったりします。人形を持つ時は白手袋などの着用をお勧めします。
人形のお顔は付属の不織布のカバーや顔紙、ティッシュペーパーなどで包んでからしまって下さい。
もしお顔のホコリが気になる時は、人形用にお顔のハタキ代わりに習字の筆を用意してホコリを払って下さい。
翌年きれいな状態で飾るため、飾り台の塗りの部分のホコリや指紋あとなども柔らかい布(ネルの布など)で拭き取ってからしまいましょう。
大切な雛人形を防虫剤で守ろう
雛人形をきれいに保存するために、害虫対策に神経質になり人形やお道具の小箱一つ一つに防虫剤を入れてしまうなど薬剤の入れすぎる人も多いようです。
防虫効果と引き換えにかえって人形やお道具を傷めてしまうことになります。
雪洞の火袋や桜橘にも防虫剤は有用ですが、防虫剤は少なめに使うことが良いでしょう。
お道具類の小箱をまとめる「まとめ箱」に防虫剤を入れるだけでも効果はあります。
また夏から秋の晴れた日に、人形の箱を虫干しして湿気を取るのも長く保管する人形にとってはたいへん良いことです。
秋に”重陽の節句”(旧暦九月九日)があります。五節供の一つですが、このお節句は、”後の雛”とも呼ばれています。諸説は色々あると思いますが、秋の天気の良い日に、お雛様を出して、陰干しをする事と同時に、大人の女性が宴をしたと言う事もある様です。ここからもわかる様に、仕舞い通しにしないで、一度出して上げると、湿気対策になるのではないでしょうか?人形の保管と保存には気を付けることが多くて大変だと思われる方もいらっしゃいますが、人形にとって一番良い保存方法は毎年飾ることと、晴れた日に飾って晴れた日にしまうことだと言われています。
毎年の楽しいひな祭りのために雛人形を正しく保管して下さい。
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