雛人形15人がすべて並んだ圧巻の5段飾り
雛人形飾りで最も豪華で賑やかな飾り方に 七段飾りがありますが、近頃は五段飾りで飾りで飾る方も増えています。七段飾りと比べるとコンパクトで省スペースでありながらも、お内裏様・三人官女・五人囃子(または七人雅楽)・随臣(右大臣、左大臣)・三人仕丁まで十五人すべての人形が一同に揃った圧巻の飾りです。豪華絢爛な飾り方を楽しめる、きらびやかで美しい飾りといえます。また、五段飾りは、幸せな結婚式の様子を表現しているといわれています。桃の節句のお祝いに五段飾りはいかがでしょうか。
5段の最上段の雛人形は「お内裏様」
これから幸せな結婚式を挙げるお二人の姿ですが、関東雛と京雛では左右の並べ方が異なります。関東雛は向かって左側に男雛、右側に女雛ですが、京雛はその反対に飾ります。これは「天子南面、日の出る方、位高し」といういわれによるものです。昭和天皇の即位式までは関東雛も京雛と同じく、向って右側に男雛、左側に女雛を飾っていました。舞台の上座と下座の優位関係も観客席から見て右側が上座で左側が下座になっているのも「天子南面、日の出る方、位高し」のいわれによるものです。
5段の上から2段目の雛人形は「三人官女」
衣裳は打掛姿の場合と巫女装束(みこしょうぞく)の場合がありますが、三人官女の役割は、主にお内裏様の身のまわりのお世話です。真ん中に座る官女が既婚者でリーダーです。既婚者なので眉を剃り、中にはお歯黒をしているお顔もあります。手に持つ小道具は三方を持ちます。三方は三つの方向に穴があるので三方といわれ、穴の開いていない方向が正面になります。二方に穴があるのは二方、一つ開いているのは一方と呼ばれます。三方の代わりに嶋台を持つタイプもあります。両脇の立ち姿の官女は向って右側が左手を握っているので、長柄の銚子を持たせて飾ります。長柄の銚子というのは、柄の長いお酒を注ぐ道具です。お酌をするときに直接器へとお酒を注ぐものです。向って左側は左手を開いているので、右手に加えの銚子を持たせます。加えの銚子は長柄の銚子にお酒を注ぐ役割として使います。長柄の銚子でお酒を器に注いで、無くなってきたお酒を長柄の銚子に加えるので、加えの銚子と呼ばれます。
5段の真んなか3段目はにぎやかな雛人形「五人囃子」
五人囃子の役割は宴を盛り上げる演奏部隊ですが、向かって左側から太鼓、大鼓(絵のない鼓)(大皮と表記してある飾り方もあります)、小鼓、笛、謡(うたい)の順に並べます。五人とも烏帽子をかぶせ、脇差を左腰に差し込み飾りますが、左側から音の大きな順番になっています。18世紀中頃から確認される五人囃子は、武家の式学である能楽の地謡と囃子を模したものですが、貴族的で気品のある雅楽姿より、武家の町である江戸で好まれたといわれています。また日本の古典音楽・雅楽には1200年以上の歴史があります。
また、五人囃子の代わりに七人雅楽を飾る雛人形もありますが、お囃子が町屋であることに対し、雅楽は宮中の演奏舞台で楽器は、笙(しょう)を中心として、箏(そう)・横笛(よこぶえ)・篳篥(ひちりき)・火焔太鼓(かえんだいこ)・琵琶(びわ)・羯鼓(かっこ)などの楽器で構成されます。
4段目・5段目は「仕丁」か「御道具」
仕丁の役割は主に宮中内外の雑用を行い、三人一組なので三人仕丁と呼ばれます。
三人の顔の表情がそれぞれ違い、泣いている人、怒っている人、笑っている人がいます。(人間の喜怒哀楽を表現しています。)向かって左側から台笠、沓台、立傘の順に飾りますが、京風セットの場合は持ち物が変わり、熊手、塵取り、ほうき順に飾ります。また、三人仕丁の外側には隋臣と呼ばれる人形を並べる場合もありますが、向かって左側に朱色の衣裳を着た右大臣(若者)を右側には黒い衣裳を着た左大臣(老人)を飾ることもあります。
右大臣は武官として、左大臣は文官としてそれぞれの役目を果たします。雛道具を飾る場合もありますが、どれも大切な嫁入り道具で、種類や大きさはさまざまのものがあります。”嫁入道具”は、その名の通り、お輿入れの時にお雛様が持ってきたお道具類になります。箪笥・つづら・鏡台・針箱・火鉢・衣装袋・茶道具・重箱、そして御駕籠・牛車になります。どのお品もご両親が、お嬢様の為にしつらえたお品物です。ここからもわかる様に、十五人飾り(七段・五段飾り)は、お嫁入のシーンになぞらえて、作り上げられて飾りになります。
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