雛人形は女の子の成長を見守る役割。飾る場所はどこにしよう!
雛人形を飾る場所を考えるときは、様々な要素が絡み合います。
どんなふうに見せたいのか。どんなふうにお祝いしたいのか。
住んでいるおうちにそのスペースはとれるか。飾ろうとする雛人形は段飾りなのか親王飾りなのか。まずは、ご自身でどれを優先させるかを考えましょう。
ここでは昔から一般的に飾られてきた場所のご紹介と、現在はどういう傾向にあるのか、それは正しいのか等々についてご紹介します。
住宅形態別の雛人形を飾る場所
みなさんはどのようなおうちにお住まいですか?
数十年前には、日本では三世代が一つ屋根の下に生活する時代がありました。そのような一戸建ての日本家屋の多くには、広いお座敷があり、床の間がありました。もちろん現在でもそのような日本家屋にお住まいのご家族はいらっしゃるでしょう。そういうお宅では大きな雛人形のご用意があるでしょうから、ぜひ床の間に飾りましょう。
もし女の子のお母様やお祖母様の雛人形がまだあるのでしたら、三世代の雛人形を並べたら豪華なお祝いになることでしょう。元来、床の間は、その家の繁栄をあらわすものであり、畳の部屋の一番良い場所に作られる最も上位の空間です。そこに雛人形を飾ることで、その家全体で女の子の無事の成長を願うことにつながります。
しかし現代ではそういうお宅は非常に少なくなりました。赤ちゃんのいるご夫婦はマンションやアパートにお住まいのことも多いでしょう。おうちに床の間がない場合、まずは、お客様をお招きしてお祝いすることを想定して飾るお部屋を決めましょう。次に飾る場所をどこにするか、雛人形を購入する前に決めておきたいところです。テレビ台の上、サイドボードの上、飾り棚など、想定できるところはありますか?床の上に直接置くことは、”ほこり”などで、汚れやすく赤ちゃんが触ってしまうかもしれないので、お勧めできません。お客様がいらっしゃっるなら、リビングに飾るのがやはり一番よいので、雛人形用の飾りテーブルを用意するのも一考です。
現在は飾る場所が広く取れないためにコンパクトタイプの雛人形が人気です。七段飾りの三人官女までが飾られる「三段飾り」、お殿さまとお姫さま二人だけの「親王飾り」や、さらにそれが収納の箱にすべて収まる「収納飾り」、「ガラスケースに入った雛人形」、飾る間口を取らない「立雛飾り」などが好まれます。飾る場所がとれず雛人形のサイズはコンパクトでも、大切な女の子のための雛人形ですから、たくさんの人に見ていただける場所が良いでしょう。
- 三段飾り「紫香」:三段飾り・東玉総本店人気No.1セット『紫香』。側板を組み換えることにより一段でも、二段でも、三段でもお飾りいただける、東玉オリジナル「一、二の三段」です。お殿さま、お姫さまには段織りの衣裳を使用し、高級感あるつくりになっております。屏風と段の、桜の模様は駿河蒔絵で描かれております。
関連ページ:「東玉の【段飾り・多人数】商品一覧」
- 優雅 親王飾り「華銀河」:夜空に浮かぶ天の川で二人が寄り添う、幻想的なお雛さまです。
- 優雅 親王飾り「夢刺繍」:黒を基調とした舞台に白衣裳が映える、エレガントなお雛さまです。
- 木目込人形 喜久絵 親王飾り「桜子」:喜久絵シリーズ人気No.1の木目込人形親王飾りです。 思わず笑みがこぼれる表情の愛らしさが喜久絵の雛人形の一番の特徴です。 丸みを帯びたお顔と造形、衣裳は華やかな金彩友禅を身に纏っています。飾り台と屏風は、材料に桐材を使用した65cm間口の豪華なセッティングです。
広いお部屋には場所が取れないという場合もあります。
そんなときは子供部屋のタンスやキャビネットの上でも問題ありません。
どの部屋も場所がとれず、玄関に飾らざるをえないという場合もあるでしょう。
広い場所に飾るのが理想ではありますが、逆にとらえれば、玄関は人の出入りがいちばん多い場所。そのおうちに出入りした人すべてに見ていただけるという意味では良い場所と言えるでしょう。
雛人形を飾るのに縁起がいい方向があるの?
床の間に飾る場合、リビングに飾る場合、まずは上座の南向きに飾ることを考えてみましょう。
一般的に雛人形の向きは南向きが良いとされます。これは雛人形が京都御所の紫宸殿をモデルにしているからという理由であり、さらに「天子南面す」という言葉にもあるように、偉人は南を向いて座ることに由来しています。
しかしこれは決まり事ではありません。多くの人の目に留まる場所、雛人形が女の子を見守っていると感じられるような場所に飾るのが良いでしょう。
雛人形は立春を迎えたらいつでも飾ってよいとされますが、さらに大安・友引のお日柄を選ぶと良いでしょう。遅くとも雨水の日までには飾りましょう。二十四節気に数えられる雨水の日は、立春から数えて15日目あたり。草木が芽生える季節で、昔から農作業の準備を始める目安とされてきました。春一番が吹くのもこの頃で「雪が少しずつ雨に変わり、春に向かう」とされる日です。雨水の日に雛人形を飾れば女の子は良縁に恵まれる、という説もあります。
こういう場所に飾るのは避けましょう
どこに飾っても間違いではない…と言いつつも、避けたほうがいい場所はあります。
雛人形は、直射日光・極度の乾燥・高温多湿が苦手です。
日光が入るお部屋であれば直射日光が当たらないように窓から離れた場所をお選びください。
衣裳の色褪せを防ぎ、人形以外のお道具も良い状態を保てます。
また、雛人形を飾る季節はまだまだ寒さが気になるころ。もし暖房の効くお部屋に飾るのであれば、エアコンやヒーターの風が当たり続ける場所は避けていただくのが安全です。雛人形のお顔は胡粉といって貝殻の粉を膠で溶いたもので塗られていて、人間のお肌同様、乾燥しすぎるとひび割れや剥がれの原因になります。
そして、乾燥よりも大敵なのは高温多湿です。飾る季節は気候的に高温多湿になることはあまり心配がありませんが、飾った後おしまいになるときに気を付けましょう。
カビやシミの原因を作らないために、高温多湿となる保管場所はお避けください。例えば、屋外の物置や、結露が出るお部屋の収納スペース、また湿度の高い部屋の押し入れの天袋などは避けていただいたほうがよいでしょう。また、おしまいになる日取りは、雨や雪の日ではなく、からりと晴れた天気が続いた日をお選びください。
そして、できることなら秋にも一度箱から出してあげましょう。ちょうど桃の節句から約半年後にあたる旧暦9月9日は「重陽の節句」です。この日は別名「後の雛」とも呼ばれ、江戸時代には雛人形を飾る習慣がありました。しまいっぱなしになっている雛人形に、からりとした秋の空気に当てることは、雛人形の状態を良く保つためにもとても有用な習慣でした。
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雛人形を大切にすることが、きっと優しい心を育くむことに繋がるでしょう
飾る場所も保管しておく場所も、基本的に人間がここちよく暮らしやすい場所が、お人形にも快適だと思っていただくとわかりやすいと思います。
雛人形は、女の子を大切に思うご家族の思いの込められたもの。
色々な注意点はありますが、女の子の健やかな成長を願い、毎年飾ることを楽しむことが第一です。
成長した女の子も、ひな祭りという文化を通して、ご家族から注がれる愛情を感じ、優しい心を育くんでいかれることでしょう。
小さい頃はお母様と飾り、少し大きくなったら、お子様一人で”雛人形”をお飾りして、お母様は、一緒に飾る”お花”や”お菓子”を用意してあげるとよいでしょう。そんな時でも、”花”や”お菓子”にどんな意味合いがあるかなど、話してあげると、大きくなってご自分のお子さまに同じ様に、話して聞かせる事が出来ます。
雛人形を大切に長く飾ることを考えると、雛人形を飾る意味を考えたうえで場所を決め、また飾ったとき・しまったあとの状態にも気を配るのも、ひな祭りという行事の大切な一部分と言えるでしょう。