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岩槻総本店
〒339-0057
埼玉県さいたま市岩槻区本町1-3
まだ凍えるように冷たい冬の名残が吹く街中で、少しずつ芽吹き始める緑色。
3月3日は、女の子の健やかな成長を願うひな祭りです。
そんなひな祭りを祝うときに欠かせないのが、色とりどりのお菓子たち。
「ひな祭りにはお菓子を食べる」という習慣は昔からあり、それは今にも受け継がれています。
お菓子屋さんはもちろんスーパーなどにも可愛いお菓子が並びはじめ、「今年は何を食べようかな?」なんて考えている時間も楽しいですよね。
そんな春の風物詩として親しまれているひな祭りのお菓子ですが、実は意外なほど奥が深いんです。
そこで本記事では、伝統的にどんなお菓子が食べられてきたのか、今どんなお菓子が人気なのかについてご紹介してゆきます。
伝統の背景を知っているだけでも、ひな祭りをもっと楽しめるようになりますよ!
まずは、伝統的なひな祭りとお菓子の関係についてです。
実は、ひな祭りでよく見かける「あのお菓子」が食べられているのには理由があるんですよ。
ここからは、そんなひな祭りのお菓子に込められた意味について見ていきましょう。
そもそも、ひな祭りの起源は中国。
平安時代に、遣隋使によって伝えられた行事と言われています。
元になったのは中国の「節句」という考え方です。
縁起のよろしくない季節の変わり目に禊(みそぎ)の儀式をし、健康や幸せを願うというもの。旧暦の3月3日は「上巳の節句」として、水で体を清める儀式がおこなわれていました。
これが日本へと伝わって、独特な変化をとげていきます。上巳の節句は、京都の貴族階級の女性の間で流行っていた人形遊びと結びつきました。
それによって、紙で作った雛人形に身の穢れを移して川に流す「流し雛」という行事へが誕生したのです。これが、ひな祭りのはじまりです。
関連記事:お雛様を川に流してしまう?「雛流し(ひなながし)」の意味と歴史
その後江戸時代に入り、人形を作る技術が発達するにつれて、平安装束を忠実に再現した精巧で高価な人形が出てくるようになりました。
その影響から、人形は「川に流すもの」ではなく「家に飾るもの」というイメージがだんだんと広まっていったとされています。
災厄をひな人形に移し身代わりになってもらうものとして、嫁入り道具の役割も果たすようになったのもこの頃からです。
いつしかひな祭りには必ずひな人形がまつられるようになりました。
そして、「ひな人形にお供えするごちそう」として登場したのがお菓子です。
ひな祭りで食べられてきたお菓子は、ひな人形へのお供え物だったと考えられています。そのため、「形」や「色」の縁起がいいと考えられてきたものが多いのです。
例えば、菱餅や雛あられなど、「白」「赤」「緑」の3色で作られているお菓子が多いですよね。この3色は特に縁起の良いものとされています。
白には「子孫繁栄」「長寿」の願いが、緑には「厄除け」「健康」の願いが、赤には「生命力」「魔除け」の願いが込められています。
またこの3色で季節「春の訪れ」を表現しています。白は「雪」「雪解け」で、赤(ピンク)は「お花(桃の花)」、緑は「草」や「新芽」「若葉」を表しています。季節を色やお菓子で表現する日本古来からの素晴らしい文化です。
この3色がもっともスタンダードですが、さらに黄色が加わることもあります。
この4色は「四季」を表現しているとも言われ、自然のエネルギーを採り入れて一年中女の子が健康でいられるようにとの意味があります。
それだけではなく、ひな祭りは女の子のための行事ということで、華やかで女の子らしい見た目であること、春を感じさせることも大切にされてきました。
お菓子の由来については諸説ありますが、必ず共通しているのは「災厄を取り除く」ことや「娘の健康を願う」という想い。それぞれに、女性の体をいたわる気持ちが込められているのです。
ここからは、「雛あられ」や「菱餅」など、伝統的なお菓子について詳しく見ていきましょう。
小さいころに食べたあのお菓子の、意外な由来を知れるかもしれませんね!
まずは、雛あられです。
白・緑・赤の3色が綺麗で、表面には砂糖がまぶしてあります。
由来には諸説あります。
ひとつは、ひな祭りの元になった「ひいな遊び」に持っていくおやつにするため、菱餅を外に持って行って食べられるよう砕いてつくられたのが始まりとする説。
ひとつは、「雛の国見せ」と呼ばれる、ひな人形を外に持ち出して外の景色を見せてあげるという風習の時に食べるものとして始まったという説もあります。
また、ひな人形にお供えするお菓子でもあったそうです。
雛あられは、場所によって作られ方が違うのも特徴。
東日本では米粒をあぶったものから作られ、味付けは甘いです。
西日本では餅を砕いて揚げたものから作られ、味付けはしょっぱくなる傾向があります。東海地方はまた別で、円柱状の独特な形をした甘いあられが作られています。
菱餅は、ひな祭りの元となった「節句」の考え方と一緒に中国から伝わった由緒あるお菓子です。
中国では旧暦の3月3日、「上巳の節句」に菱の実で作った餅に「母子草」という縁起のいい草を混ぜて食べる習慣がありました。
これが日本に伝わったのち、「母と子を混ぜて食べるのは縁起が悪い」との考え方から代わりに蓬(よもぎ)が入れられるように変化します。その後、明治時代頃にクチナシを混ぜた赤色の層が追加され、今の3色になったと言われています。
実はこの3色には実用的な意味もあります。赤色のクチナシは「解毒作用」、白色の菱の実は「血圧低下」、緑色の蓬は「増血効果」が期待されました。実際の健康効果も考えて作られていたのですね。
菱餅といえば形も特徴的ですが、今のようなひし形になったのは江戸時代に入ってからと言われています。縁起物の菱の実をモデルにした、心臓の形を表現した、大地を表現した、など諸説ありますが、どれも健康と長寿を願っています。
引千切もまた、ひな祭りを飾る有名な和菓子。
蓬餅などを伸ばして真ん中にくぼみを作り、その上にあんこを乗せたものです。
色合いは菱餅と同じく赤・白・緑で作られることが多いですが、その他の色で作られることも多くあります。
元々は餡ではなく味噌を乗せていたとされています。特に京都で食べられることが多い上品なお菓子ですが、作られた経緯は意外にも現実味あふれるものです。
それは、「餅を丸める暇もないほど忙しい時に、引き千切って作ったのが始まり」というもの。そのため、ふちに引き千切った後のようなものを作るんですね。
引千切がひな祭りで食べられるようになった理由は定かではありませんが、別名を「あこや餅」(あこや貝は真珠貝のこと)と呼ぶことから、真珠のように大切な娘、真珠を守るように硬く守る、などの縁起のいい意味が込められています。
華やかな見た目と美味しさから定番のお菓子になった桜餅ですが、実は元々ひな祭りに食べられていたわけではありません。5月5日には柏餅を食べるという文化が先にあって、その影響で3月3日には桜餅を食べるようになった、という説もあります。
単純に、ピンク色が春らしく女の子のお祭りにぴったりだったからともいわれています。こちらも、雛あられのように地域によってつくられ方が違い、西日本では「道明寺餅」と呼ばれ、道明寺粉で作られたもち米にあんこを包んで桜の葉で巻きます。
一方で東日本では「長命寺餅」と呼ばれ、クレープのような生地にあんこを包み、桜の葉で巻きます。
このように、ひな祭りのお菓子は古くからの歴史を持ってます。しかし、実際にお子さまのお祝いのごちそうとして、これらのお菓子をそのまま出すのは少しまってください。
というのは、昔はこれらのお菓子は一年に一度しか食べないごちそうでしたが、最近はいつでも美味しいお菓子を食べられます。伝統的で素朴なお菓子は、甘いものが大好きなお子さまにとってはあまり魅力的ではないかもしれません。
せっかく伝統的なひな祭りをお祝いしたつもりでも、特に菱餅などではお子さまに喜んでもらえなかった、ということも考えられます。
また、簡単なレシピなどを調べて、雛あられや菱餅などの伝統的なひな祭りのお菓子も少量でも飾り付けして、メインのデザートはお子さまの好きな手づくりのお菓子にしてあげてください。
ひな祭りで食べられているお菓子に込められた願いや歴史をご説明させていただきました。どのお菓子も、女の子の健康や幸福を願って作られているんです。
甘味の少なかった時代から、日常的に美味しいお菓子を食べることができる現代まで徐々に変化してきたお菓子でも、歴史や伝統をお子さまへ伝える意味では、少量でも伝統的な雛あられなどのお菓子を食べる機会を与えてあげたいですね。
現在は、ひな祭り用のお菓子を通販で取り寄せできたり、シャトレーゼなどお菓子のチェーン店でもひな菓子を取り扱うなど身の回りに市販の雛菓子の取り扱いも増えているようです。また、この時期 お子様のいるご家庭へのギフトとしても最適ですね。
ご家庭で作るひな祭りのお菓子やデザートの材料もカルディのようなお店にたくさんあります。
お子さまの健やかな成長を願って喜んでもらえるお菓子を作ってあげてください!
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