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「菱餅」の由来とは?ひな祭りに飾って食べるのは?

2023年10月20日

ひな祭りの由来

「菱餅」の由来とは?ひな祭りに飾って食べるのは?

3月3日のひな祭りには、たくさんの雛飾りやお花で女の子の健やかな成長を願います。
そんなひな祭りでひときわ鮮やかなのが、3色の「菱餅」です。

菱餅の赤・白・緑の3色は「ひな祭りの色」として有名ですよね。
雛あられの色に使われたり、菱餅に見立てたケーキなどもひな祭りの季節にはよく見かけます。
ひな壇でも、五段飾りや七段飾りと言った本格的なものには必ずと言っていいほど置かれています。
このように菱餅は、まさにひな祭りを象徴する食べ物です。

しかし、どうしてこの配色で、ひし形の形をしているのでしょうか?
そこには、しっかりと由来があります。

今回はそんな菱餅について、形や色についての由来を詳しく見ていきましょう。
菱餅の由来を知っておけば、お子さまに質問された時もすぐに答えられるようになりますよ。

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菱餅の形は昔の中国での行事に由来

菱餅の形は昔の中国での行事に由来します

まずは、菱餅がどういう経緯で現在の菱餅の形になったのか、見ていきましょう。

そもそも菱餅のルーツは、ひな祭り自体がそうであるように、中国から伝わった考え方にあります。中国では古来より、「上巳節」という季節の節目に菱の実の粉で作った餅に、母子草を混ぜて食べる習慣がありました。

菱の実には「子孫繁栄」や「長寿」の力があるとされ、母子草には母と子が健やかであるようにとの願いが込められていました。母子草は、春の七草のひとつ「御形(ごぎょう)」としても知られています。

この「上巳節」は旧暦の3月3日で、後に日本でひな祭りとなります。
この習慣は日本に伝わったものの、「母と子をついて餅を作るのは縁起が悪い」と受け入れられませんでした。その代わり、同じ季節の薬草である蓬(よもぎ)が用いられるようになったと言われています。

この時点では、まだお餅をひし形にしていたという記録は残っておりません。
その後、江戸時代に入ってから初めて、菱餅は現在のようなひし形になったとされています。

ここで気になるのはひし形になった理由です。
しかし、実はこの理由にはいくつかの説があります。

・仙人が食べ不老長寿を得たという菱の実をモデルにした
・「心臓の形」を表現した
・四角を伸ばすことで長寿を祈願した
・「大地」を表現している

このように、菱餅の形の由来は現在でもまだはっきりとはわかっていません。
しかし共通しているのは、どれも災厄を除こうという気持ちや、娘の健康を願う気持ちが込められているということです。

中国から伝わった縁起物をさらに縁起のいいものに昇華させるため、現在の形に変わっていった可能性が高いといえます。

 

菱餅の色は2色?色の由来と込められた意味

菱餅の色はもともとは2色?色の由来と込められた意味

では、あの鮮やかな3色の配色にはどんな意味や由来があるのでしょうか。

実は菱餅がひし形になったばかりの江戸時代初期では、菱餅の色は3色ではなく2色だけでした。菱の実から作られた白い餅の層と、菱の実の餅を蓬で色付けした緑の餅の層があり、それを3段~5段組み合わせたものが主流だったようです。

この2色の菱餅に変化が起きたのは明治時代。
クチナシの実を混ぜた赤色の層が加えられ、3色になったのです。
赤色が加えられた理由としては、古来から「魔除け」の効果を期待されていたから、というものが有力です。
まとめると、各色には次のような意味を持ちます。

赤(クチナシ)

赤色は魔除けの効果を願ったものです。
クチナシが持つ「解毒作用」という実用的な効果も期待されていたようです。

白(菱の実)

菱は子孫繁栄と長寿を願ったものです。
「血圧低下」の健康効果も期待されています。

緑(蓬)

緑色は厄除けを願ったものです。
また、蓬には「増血」の健康効果も期待されています。

菱餅の三色の色の組み合わせや順番にも意味があります

さらに、この色の組み合わせには素敵な意味合いもあります。
赤は「桃の花」を、白は「純白の雪」を、緑は「新緑」を連想させるということで、組み合わせによって「春の情景」を表現しているのです。

下から「緑・白・赤」の順番で配置されている菱餅は、雪の下に新芽が芽吹き、梅の花が咲いている情景。
下から「白・緑・赤」の順番のときは、雪の中から新芽が吹き出、桃の花が咲いている情景です。

古を生きた日本人が持つこの繊細な感覚と豊かな想像力こそが、菱餅が今なお多くの人に親しまれている理由なのかもしれませんね。

菱餅の食べ方は決まっている?

菱餅の食べ方には特に決まりがあるわけではありません。
お供えした後に、あくまでも雛人形へのお供え物になります。早くてもひな祭りの当日か、3月3日を過ぎてから食べるのがよい、と言われています。オーブントースターなどで焼いて食べましょう。

お正月に飾る鏡餅は、鏡開き後に木槌などの道具を使って割ったり、手で割り分けたりすることで、包丁などで切り分けるという縁起の悪い分け方を避けますが、菱餅は切り分けて食べても大丈夫です。ひし形の角をちぎり、四方の角を丸くしながら食べると「角が立たずに生きる」ことにつながり、縁起がよいといわれていますが、明確な決まりではないので気にしなくても問題ありません。

焼餅の他にも雑煮やお吸い物に入れても、一風変わった色の付いた餅料理が楽しめます。また三色の菱餅をそれぞれの色にスライスして、上にチーズやハムを乗せてピザ風の焼きもちにしたり、固くなった菱餅を砕いて油で揚げ3色のおかきを作ったりと、いろいろ工夫することで、毎年菱餅を飾ることをお子さまも楽しみにするかもしれません。

関連記事:「ひな祭りの菱餅って何で3色なの?意味と由来を解説します。

菱餅の角には魔除けの意味があるともされていることから、角をちぎりながら食べると良いという言い伝えもあります。

由来は諸説ありますが、子を思う親の願いは同じです

このように菱餅の由来は諸説ありますが、お子さまの健康と成長を願ったものであることは間違いありません。
ひな祭りとはそもそも、縁起の良くない「節句」の災いを避けるためのもの。
そのため菱餅だけでなく、ひな祭りで使われる道具やお花は、魔除け効果などを持っていると信じられてきたものばかりなのです。

例えば、雛人形もその内の一つ。
雛人形を飾る習慣は、お子さまの健やかな成長を願うために、紙の人形を川に流す「流し雛」の儀式から始まったとされています。
そのため、今でも雛人形はお子さまに降りかかる災いの身代わりになってくれるものとしての役割も持ち合わせています。

それだけではなく、雛人形は学びの機会としても大切なものです。
上質な雛人形はとても美麗で御衣装や御道具の再現度が高く、繊細に作られているほど管理に手間がかかります。
しかし、それはむしろお子さまにとって必要なことともいえるのです。

実物を着る機会は現在ではほとんどなくなってしまった和服・和装の美しさや着方、着物の柄や色の合わせ方、帯や髪型などが現在でも詳細に再現されるのは、脈々と受け継がれた伝統の技法により、精巧なお雛様が作り続けられてきたからです。

和服や和装での儀式を実際に体験することがなかったとしても、その由来や意味、美しさをお子さまに身に着けていただく機会は与えてあげたいですよね。

美麗なお雛様を通じて、その飾り方に学び、片付け方に学ぶ。
雛人形に触れることを通じて、お子さまが格式高い「和の美意識」を得る機会を作ってみてはいかがでしょうか。

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このように、ひな祭りのシンボルとして慣れ親しんだ菱餅には深い歴史があり、いまだ由来がはっきりと解明していない部分もあります。

しかし、お父さん・お母さんがお子さまの健康と幸せを願う気持ちは古来からずっと変わっておりません。お雛様や菱餅、お花、ひな祭りという行事そのものすらも、あくまでその気持ちを表現するための方法なのです。

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