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「桃の節句」と「端午の節句」。江戸の時代から約160年に渡り、子供たちの成長を祈り続けてきた東玉が、人形の町・岩槻から、古来からのお節句をご家族の皆さまと共に見守らせていただいております。
増岡家 ほのちゃん [さいたま市在住]
初節句の祝い。両家の絆が深まる日
春夏秋冬。それぞれの季節の中で、昔から暮らしに根付く「五節句」。1月7日:人日(じんじつ)は「七草の節句」、3月3日:上巳(じょうし)は「桃の節句」、5月5日:端午(たんご)は「菖蒲の節句」、さらに、7月7日:七夕(たなばた)は「笹の節句」、9月9日:重陽(ちょうよう)は「菊の節句」と呼ばれます。
はじめは、宮中や貴族社会の特別な行事でしたが、江戸時代に五節句が式日(祝日)に制定されてから、民間行事として広がりました。「ひなまつり」もこの五節句のひとつ、桃の節句にあたります。
元々は邪気を祓うという中国の思想から生まれたものですが、日本ではいつしか、現代のひなまつりのように立派な習慣へと移り変わっていきました。
小松菜農家16代目、増岡家の初節句。
“桃”には邪気を祓う魔除けの信仰があります。ですからひなまつりには、幼子の病気や災厄を祓い、幸せな成長を祈るという思いが込められています。そんな大切な一日「桃の初節句」を迎えた小松菜農家16代目、増岡英樹さん、美由紀さん、長女ほのちゃんご家族。
この日は、英樹さんのご両親である、増岡武男さん、初江さん。美由紀さんのご両親、藤田満雄さん、育子さん、孫の真帆ちゃんも集まりました。
ご先祖さまたちが見守る大広間に飾られた三段飾り。その人形たちを前に集まった両家の皆さん。そこには、幸せに満ち溢れた時間が静かに流れています。
おひなさまは本来、節分の後に飾るものですが、初節句の場合はそれより前からでも良いとされていて、増岡家では2月2日の大安から飾っています。お母様・美由紀さんの幼少時代は七段飾りが主流でしたが、ほのちゃんには現代の主流でもある三段飾りを選びました。
「ひな祭りってあまり記憶がないんです。でも、こちらにお嫁に来る際に、母が実家であらためてひな人形を飾ってくれて、送り出してくれたことがとても嬉しかったです」
「私が覚えていないように、娘もひな祭りを覚えてないのかもしれません。でも、写真に残したり、メッセージカードを書いたり、こうして両家の家族が集まって、ほのを祝ってくれたことを、後で感じてくれたらいいなって思います」
さらに、「ほのは私たちの一番の宝物。おじいちゃん、おばあちゃんとも触れ合って、学んで、優しく素直に成長して欲しい」「私自身、この初節句を迎えて、やっと増岡家の本当の家族になれた気がしています」と話してくれました。
そして、「ひなまつりは三世代の絆を確かめられる大切な行事」と話してくれたお父様・英樹さん。写真の“吊るし雛”を作ってくれたお祖母様・藤田育子さん。農家にとっての初孫は、代々を繋いでいく大切な子。桜茶をゆっくりと味わいながら、ほのちゃんを見守る初節句の団欒は続いていきます。
本来、農家では、代々のひな人形を大切に受け継ぎます。増岡家にも実は三世代分のひな人形があるのだと、お祖母様の初江さんが最後に話してくれました。せっかくですから、次のひなまつりには、しまってあるおひなさまも出して、代々のひな人形を飾ってみるのも良いですね。