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「江戸小紋」のおひなさま
みなさまこんにちは。
工房で「江戸小紋」の色合わせを目にしたので今日はそのお話です。
木目込工房の職人さんの作業台の向かい側。
うず高く積まれた箱の数々。
この中にひな人形たちが大勢入っています!
先日もご案内しましたが、ただ今、制作の最盛期!
それと並行して、取扱人形店様特注のお人形の、衣裳の色あわせも行われていました。
こちらの衣裳は、重要無形文化財保持者=人間国宝に指定されている小宮康正さんの染めた江戸小紋で、東玉では通称「小宮小紋」と呼んでいます。
目の覚めるように鮮やかで、それでいて光を上手に集める上品な色は、まさに江戸の粋を感じます。小紋ならではの細やかな柄ゆきも、小さなお人形に着せると際立って、人間が着た時とはまた違う魅力があると感じていただけるのではないでしょうか。
私個人は小宮小紋の黄色がとても好きなのですが、なかなかお人形の衣裳になりにくいようで、工房で採用されているのをあまり見たことがありません。が、今回、襲の色目の一色に使われていますね!このまま採用されますように!
さて、江戸小紋とは、どういうものをさすのでしょう。
江戸時代に諸大名が着物に贅をつくせる余裕が生まれ、それを良しとしない江戸幕府が、武士たる者が豪華に着飾るものではないと奢侈禁止令を出しました。そこで大名たちが知恵をしぼって遠目から無地に見えるように柄を細かくしたのが小紋。言葉通り小さい紋様ですね!!
そのための染色技術が発達していき、そのおかげでできた技術が江戸小紋と呼ばれるようになりました。それほどに長い歴史を持つ江戸小紋ですが「江戸小紋」という名称が使われるようになったきっかけは、なんと東玉がおつきあいさせていただいている小宮染色工場が大きく関係していました。先々代の小宮康助さんがその技法の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されたとき、他の小紋染めと区別するために、江戸小紋という言葉が生まれたのだそうです。これは意外と知られていない事実なのだとか。
小宮康助さんのあと、息子の小宮康孝さん、孫の小宮康正さんも、重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されています。
今、東玉でお人形の衣裳になっているのは康正さんの小紋です。
お姫さまの重ねの細い線の部分まで小紋が贅沢に色合わせされています。
お店でも小宮小紋衣裳のおひなさまを展示していますので、お近くの方はぜひ見にいらしてください。