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岩槻総本店
〒339-0057
埼玉県さいたま市岩槻区本町1-3
子供の頃にお正月に羽子板(はごいた)で羽根つきをして遊んだことがあると言うのは、おばあちゃん世代なのかもしれません。
お母さん世代の中には、生家の居間や玄関に飾ってある羽子板飾りを目にして育った方も多いでしょう。
赤ちゃんが、はじめて迎えるお正月のことを「初正月(はつしょうがつ)」と言いますが、祖父母や親戚の方たちはそのお祝いとして、女の子には「羽子板」、男の子には「破魔矢(はまや)・破魔弓(はまゆみ)」を贈ると言うのが昔ながらの風習です。
しかし、どうして女の子の初正月に羽子板を贈るようになり、羽子板や羽根つきにはどんな意味が込められているのでしょうか?
羽子板と言えば、お正月の「羽根つき遊び」をイメージする方も多いと思いますが、実はこの羽根つきの歴史をさかのぼると、古くは室町時代から行われていたとされます。
羽根つきの由来は、7世紀頃から宮中で行われていた「毬杖(ぎっちょう)遊び」だと言われます。毬杖遊びでは羽子板や羽根ではなく、先が「へら」のような形をした杖で毬(まり)を打ち合う遊びでした。
その後、この杖が変化して羽子板になったとされています。
関連記事:「羽子板は遊ぶ?飾る?お子様に教えてあげたい正月の羽根つき遊び」
文安年間(1444年頃)に書かれた辞書『下学集(かがくしゅう)』には、正月に用いるものとして「羽子板」と言う言葉が載っているそうです。
室町時代に「伏見宮貞成親王(ふしみのみや さだふさ しんのう)」によって書かれた『看聞日記(かんもんにっき)』にも、永享4年(1432年)正月5日に、宮中で女官などが男組と女組に分かれて羽根つきを行ったと言うことが記録されています。
この『看聞日記』には、足利将軍が年末に宮中へ羽子板を贈ったと言うことも書かれていると言います。
この頃から羽子板は、「羽根つき用」と「飾り用」に分かれていきました。
室町時代の羽子板は「胡鬼板(こぎいた)」と言いました。一方の羽根つきに使う羽根は「胡鬼子(こぎこ)」と呼ばれていたそうです。
現在の羽子板や羽根も使用する素材や技法などは変わったものの、その形状は室町時代に使われていたものとそれほど変わらないようです。
商品詳細
押絵羽子板の産地「人形のまち岩槻」東玉の羽子板飾りはこちらからご覧ください。
室町時代の羽子板は、絵具などで板に直接絵を描く「描絵羽子板(かきえはごいた)」でした。
図柄は松竹梅の絵や、宮中行事「左義長(さぎちょう)」の風景を描いたものが多かったようです。
今日では「左義長」は小正月の「どんど焼き」のことですが、そのもとは当時宮中でお正月に行っていた「悪魔祓い行事」だと言います。
年の始まりを祝う正月に用いる羽子板ですから、その絵柄も「めでたいもの」や「邪気除けになるもの」が好まれていたようです。
江戸時代になると、羽子板の図柄に歌舞伎が使われるようになりました。
人気の歌舞伎役者を押絵で作って貼った羽子板は、庶民の間で大流行したそうです。
この「押絵羽子板」は、桐板の上に綿を布でくるんだ50~60の細い押絵細工を組付けて図柄を作る手の混んだ羽子板です。
歌舞伎や能狂言を題材にした絵柄の羽子板のことを「狂言物」と呼びますが、代表的なのは、弁慶・め組・石橋・連獅子などの図柄です。
江戸時代から全国各地で年の暮れに行われていた「羽子板市」は、かなり大盛況だったと言われます。
この時代にも年末に邪気除けとして羽子板を贈る風習があったのです。
貴族や武家の間では「左義長羽子板(さぎちょうはごいた)」が人気がありました。
これは金箔を施した羽子板の表裏に、「左義長(正月に宮中で行われた魔除け儀式)」の風景が豪華に描かれたものです。
厄除けとして貴族や武士への贈りものに用いられていましたが、後に庶民の間にも広がっていきました。
需要によって羽子板の種類はどんどん増え、金箔や銀箔を施した高級羽子板が出回りはじめたので、江戸幕府が豪華絢爛な羽子板の製造や販売を禁止したと言うこともあったそうです。
押絵羽子板の産地「人形のまち岩槻」東玉の羽子板飾りはこちらからご覧ください。
明治時代の歌舞伎黄金時代が始まると、歌舞伎役者をモチーフにした「押絵羽子板」は更に盛んに作られるようになり、江戸工芸・東京の職人芸として発展し完成していきました。
大正時代には、羽子板に焼きごてで線を描き彩色した「焼き絵羽子板」や、絹を貼った羽子板に直接絵を描く「絹絵羽子板」など様々な形の羽子板が生まれました。
羽子板の絵柄では「狂言物」以外にも、「舞踊物」と呼ばれる「道成寺・汐汲・藤娘・浅妻・禿・春駒」など娘姿のものが多く使われるようになりました。
その他にも、日本画家「伊藤深水、鏑木清隆、上村松園」などの作品である「細い面相の美人画」が描かれた「見立て」と分類される絵柄も人気があったようです。
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昭和以降の羽子板は、羽根つき用のシンプルな作りの羽子板と、正月に飾る華美な羽子板飾りに更に分かれていきます。
近年では主に正月飾りとして用いられる羽子板は透明ケースに入ったものも多く、お手入れや収納が簡単にできるようになりました。
現在、店頭でよく見かける羽子板と言えば、華やかに作られた「押絵羽子板」でしょう。
この押絵羽子板の産地としては、埼玉県の春日部市や東玉のある「人形のまち岩槻」が有名です。
最近では変わり種の羽子板も販売されていますが、女の子の初正月の贈りものとしては、やはり伝統的な絵柄のものがよく選ばれています。
特に美しい女性の絵柄の羽子板が好まれるのは、きっと「女の子には美しく育って欲しい」と言う親心からなのでしょう。
関連記事:「正月飾りだけじゃない!おしゃれな羽子板はインテリアにも◎」
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初正月を迎える女の子に羽子板を贈る由来はいくつかありますが、どれも女の子の健やかな成長を願う意味が込められています。
まず、羽子板の由来である羽根つきですが、もともと「邪気をはね(羽根)除ける」と言う意味合いで、年のはじめに宮中で行っていたのが始まりです。
羽根をつく時の「カーンカーン」と言う音も、魔物が嫌う音と考えられていたようです。
ですから当時の貴族たちは正月に羽根つきをすることで、その年の無病息災を願ったのです。
生まれた女の赤ちゃんに「魔除け」のための羽子板を贈る習慣も、すでに室町時代からあったそうです。
その頃から羽子板には、女の子の「厄除け」や「魔除け」の意味が込められていたのですね。
次に、羽子板の形を見てみましょう。
羽子板の羽根をつく部分は長方形ではなく、少し末(すえ)広がりの形をしています。
日本では昔から「末広がり」の形は、2つの意味で縁起の良いものとされてきました。
ひとつは「末(未来)に広がっていく(発展していく)」と言う言葉の意味から、もうひとつは、その形が漢数字の「八」に似ているところから来ています。
「八」はその形が末広がりの象徴と言うだけでなく、「あらゆるもの」「数え切れない」と言う意味を持つ漢字なので、「八百万の神々」「八重桜」「八百屋」のように使われてきた数字です。
このように、あえて末広がりに作られた羽子板は、縁起の良いものなのです。
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今度は、羽根つきに使う羽根の形を見てみましょう。
羽子板とセットになった羽根をよく見ると、トンボに似ていると思いませんか?
室町時代には、羽根つきの羽根を「胡鬼子(こぎこ)」と呼んでいましたが、「胡鬼」は古代中国では「トンボ」のことで、羽根つきの羽根が空を飛ぶトンボに似ていたことから、こう呼ばれるようになったようです。
トンボは蚊を食べてくれる益虫です。
そこから、「お正月に羽根つきをすると夏になっても蚊に刺されない」と言う風習が生まれたようです。
蚊に刺されるのはとても不快ですが、昔は感染症を運ぶ蚊から子供の身を守ることは、とても重要だったのです。
羽子板でつく羽根の先には黒くて硬い玉がついていますよね。
あの玉には昔から「むくろじ」と言う大木の種が使われています。
この「むくろじ」は漢字で「無患子」と書くので、そこから「子供が患うことの無いように」と、無病息災の願いを込めた「女の子のお守り」の意味を持つようになったと言います。
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お正月に飾る羽子板は、厄除けや無病息災の意味をもつ「女の子のお守り」です。
生まれて間もない赤ちゃんの初正月に贈ることで、その子の健やかな成長を願います。
ずっとお子様を見守ってくれるよう、羽子板はみんなが集うリビングや、お子様が大きくなられたら子供部屋に飾られると良いでしょう。羽子板飾りを見る事で、ご両親や、まわりの方々がどれだけ自分の事を、大切に思っていてくれるか、再確認できる機会になるといいですね。そして、その感情をそのまま自分の子供に、繋いでいける事を願っています。
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