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岩槻総本店
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「破魔弓(はまゆみ)」とは、「破魔矢(はまや)」と共に飾る「男の子のお守り」です。
赤ちゃんが生まれてはじめて迎えるお正月のことを「初正月(はつしょうがつ)」と呼びますが、そのお祝いとして祖父母・親族・友人などが赤ちゃんに「破魔弓」や「羽子板(はごいた)」を贈ると言う昔からの風習があります。
最近では赤ちゃんのご両親がお好みの破魔弓を購入されるケースも増えていますが、いずれにしろ男の子に贈られた破魔弓、女の子に贈られた羽子板は、赤ちゃんの健やかな成長を見守ってくれるものです。
「いつまでも幸せでいて欲しい」と言う親の願いを込めてリビングや玄関などに飾られます。
しかし、男の子のお祝いに頂いた破魔弓は、いつからいつまで飾るものなのでしょうか?
お正月飾りと言うからには、その時期だけに飾るものなのでしょうか?
そして、お子様の年齢に関わらず、いつまでも飾っておいても良いものなのでしょうか?
お正月飾りとしての破魔弓は、いつからいつまで飾るものなのでしょうか?
飾る時期を決める前に、まずは破魔弓をお正月に飾る理由を知っておきましょう。
破魔弓の由来はいくつかありますが、古いものは飛鳥時代までさかのぼります。
天智天皇(てんじてんのう)時代の天智九年(670年)のお正月には、弓で的を射る「射礼(じゃらい)」や「大射(たいしゃ)」と呼ばれる儀式が行われていたと言います。
平安時代の宮中では、桃と葦(あし)で作られたの弓矢を用いて「追儺(ついな)」と言う「悪魔退治の儀式」をしていたと言う記録もあるそうです。
室町時代には「鳴弦(めいげん)の儀」と言う宮中儀式がありました。これは、弓の弦を強く弾き鳴らして「魔除け」や「邪気祓い」をすると言うものです。
この儀式は現在まで継承され、今日の皇室でもお子様が誕生して七日目に「読書・鳴弦の儀」が行われています。
神社でも数多くの「破魔弓儀式」が行われていました。お正月に執り行われていた「弓射 (ゆみいり)」と言う年占いの儀式には、厄除けの意味もあったと言います。
威力があり、遠方の標的を捉えることのできる弓矢は、霊力を持っていると信じられ、神聖な儀式に用いられることが多かったのです。
このように当時の宮中や神社では、破魔弓を用いた儀式で「魔」や「厄」を祓い、健康や豊作を願っていたのです。
なお、「破魔弓」と言う名前は、当時「はま」と呼ばれていた「的」が由来になっており、後に弓矢の「魔を破る」と言う役割からの当て字がされたものです。
関連記事:「破魔弓の意味は「魔除けと厄祓いのお守り」その歴史と由来を解説」
弓矢が持つとされた霊力から、宮中ではお正月に「魔除け」の意味で破魔弓を飾るようになりました。
武士の時代になると破魔弓は小型化し、武家では男児の初正月飾りとしたり、縁起物として室内装飾や贈答にも用いるようになりました。そして、その風習は庶民の間にも広まり、全国的に展開して行ったのです。
このような経緯で、破魔弓は男の子の「魔除け」や「厄祓い」のお守りとなり、お正月や5月の「端午の節句(たんごのせっく)」に飾られるようになったのです。
関連記事:「端午の節句の由来とは?五月人形を飾る意味やマナーを解説!」
破魔弓をお正月に飾る理由は、やはり破魔弓が持つとされた霊力からきています。
日本には昔から多くの節句がありましたが、今でも残っているのは1月7日の人日(じんじつ)、3月3日の上巳(じょうし)、5月5日の端午(たんご)、7月7日の七夕(しちせき)、9月9日の重陽(ちょうよう)の「五節句(ごせっく)」です。
節句とは、古代中国の思想に日本の習わしや宮中行事が合わさったできたもので、お正月は「人日の節句」の時期になります。
昔は季節の変わり目である節句には「邪気(鬼)」が生じると信じられていたので、神社や宮中では「悪霊祓い」や「厄祓い」の意味を持つ行事が数多く執り行われていました。
当時の考えでは、災厄だけでなく病気になることも邪気(鬼)と関係があるとされていたので、厄祓い行事だけでなく、家の中に「縁起物」や「厄除け」になるものを飾ったり、滋養のつくものを飲食して身体の抵抗力をつけると言う風習がありました。
更には旧暦で考えると、お正月はもともと「節分」の時期でもありました。
日本には暦の上で、立春(りっしゅん)、立夏(りっか)、立秋(りっしゅう)、立冬(りっとう)の4つがありますが、節分とはそれぞれの前日を指しています。
このなかで2月3日の節分は最も有名ですが、その翌日が「立春(春の始まり)」となります。節分には「鬼門(きもん)」から邪気や厄の象徴である「鬼」が出てきてしまうので「豆まき」をして鬼を追い払うのです。
新暦を用いる現在では、節分は2月3日でその翌日4日が「立春」です。
ですが、実は旧暦を用いていた頃は「12月31日が節分」で「1月1日が立春」だったのです。
旧暦の考えでは「春が年のはじまり」だったので、「立春前の邪気祓い」と言うのは非常に重要なことでした。
十二支による暦の考えでも、十二月から一月の間は「 丑(うし)・寅(とら) 」 にあたり「鬼門の時期」とされています。
ですから、年末年始にかけて様々な「鬼祓い」や「厄除け」の儀式が行われていたのです。
昔は今のように医療技術が進んでいなかったので、赤ちゃんが無事に成人すると言うのは大変なことでした。ですから、破魔弓や羽子板を飾ってお守りとし、悪いことの起こりやすい節句や節分の時期に、弱い赤ちゃんを魔(鬼)や災厄から守ってもらうと言うのは、非常に大切なことだったのです。
関連記事:「破魔弓の意味は「魔除けと厄祓いのお守り」その歴史と由来を解説」
商品詳細
破魔弓の役割やお正月の意味から考えると、12月の中旬あたりに飾りつけをし、お正月を過ぎた頃にしまうのが良いようです。
一般的には、お正月の準備時期が始まる12月13日の「正月事始め」を過ぎたら破魔弓などを飾りはじめます。
縁起が悪いと言われるのは、12月31日の大晦日(おおみそか)に飾る「一夜飾り」です。破魔弓や羽子板などの正月飾りだけではなく、一般的にお祝いものを前日に出して飾る「一夜飾り」は、あまり良くないとされています。
「苦立て」と呼ばれ「二重苦」を連想させる12月29日も縁起が悪いので、避けておくのが無難でしょう。
歳も暮れが近づくと全国各地で「破魔弓市」や「羽子板市」が開催されるのも、この時期に合わせてのことです。
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破魔弓や羽子板などの正月飾りはいつまで飾っておくものかについては、「小正月(こしょうがつ)である1月15日まで飾る」と言う方が多いようです。
全国各地で1月15日にはしめ飾りなどの正月飾りを燃やす「どんど焼き」が行われますが、これは地域によっては「左義長(さぎちょう)」とも呼ばれる行事です。
もともと「左義長」とはお正月に昔の宮中で行われていた「悪魔祓い儀式」のことで、江戸時代に生まれた極彩色の「左義長羽子板」にも、当時の儀式の様子が美しく描かれています。
なお、破魔矢を収納する際に気をつけたい点は、全ての節句人形は湿気に弱いため、晴れて湿気の少なく乾燥した日を選ぶことです。その際には、破魔矢と一緒に箱に防虫剤や乾燥剤を入れることをおすすめいたします。
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破魔弓や羽子板は、基本的にお正月の時期に飾るのが昔からの風習です。
時期ものを一年中飾りっぱなしにするのは良くないとされてきました。
とは言え破魔弓も羽子板も縁起物ですから、一年中いつまでも飾っていても問題はありません。
男の子の初正月のお祝いに、祖父母やご親戚の方から破魔弓を贈られた場合もあるでしょうから、贈ってくださった方がご自宅を訪問された際、リビングなどに飾られた破魔弓をご覧になったら、きっと喜ばれるのではないでしょうか?
関連記事:「破魔弓は誰が買う?古くは「母方の両親」現在では誰が買っても◎」
破魔弓・破魔矢を5月5日の「端午の節句(たんごのせっく)」の五月人形と共に飾るのも一般的です。
お正月に飾り付けた破魔弓・破魔矢を、そのまま5月まで飾っておく場合もありますし、なかには魔除けとして「年中飾り」とされる方も多くいらっしゃいます。つまり、破魔弓を飾るのはいつまででも大丈夫なのです。
関連記事:「鎧兜など、端午の節句に飾る「五月人形」の基礎知識」
ただ、男の子の破魔矢や五月人形、女の子の羽子板やひな人形など全ての節句飾りに言えることですが、「季節のお飾りはその時期に飾るもの」と言う考えを強くお持ちの方もいらっしゃいます。
このような「いつまでに飾るか」「いつまでに仕舞うか」という決まりは地域や家庭によって異なりますので、お住いの地域やご家族・ご親族の慣習なども考慮されることをおすすめいたします。
破魔弓は、男の子の赤ちゃんが無事に成人できるよう願って飾るお守りです。
昔の武家の考え方から言うと、鎧兜(よろいかぶと)や破魔弓などの男の子のお守りは「元服(げんぷく)を迎えて成人するまで飾るもの」とされていました。
元服の年齢は16歳ですが、実際はその前に行われるお祝い「立志式(りっししき)」までを「子供」と考えていたので、数え年で15歳(実年齢で14歳)までとなります。
それでは、現代ではいつまで飾るのが正解なのでしょうか?
令和2年の現代では子供が成人式を迎えるのは18歳ですから、一般的には男の子が成人した20歳まで飾るものとされています。
とは言え、破魔弓はずっとお子様やご家庭を守ってきたのです。
特に破魔弓を年中飾りとされているご家庭では、たとえ男の子が成人しても「魔除け」としていつまでも飾り続ける場合が多いようです。
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男の子の成人を無事に見届けたら、破魔弓のお役目も終わります。
そのままインテリアとして飾っておいてもいいですし、独立されたお子様が新しいお住まいで飾られるのも良いでしょう。独立されたお子様が、今度はお父様になり、お子様が生まれた時、ご一緒に破魔弓か羽子板と飾られるのも良し、感謝をして、ご処分するのも良いでしょう。子供を慈しむ気持ちを込め、いつまでも、この風習が続いていく事を祈ります。
男の子に戦いの武具である弓矢を贈るのは、強く育ちいつまでも人生で成功してほしいから。
女の子に麗美な羽子板を贈るのは、美しく成長して不自由のない幸せな人生をいつまでも送ってほしいから。
破魔弓や羽子板は、そんな大人たちの願いを込めて贈られ、そして飾られるのです。
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