金属製だけではありません!カワイイちりめん五月人形
今では五月人形を飾って、男の子が元気にたくましく成長することを願う「端午の節句」。これは、昔は病気や災いを防ぐための行事でした。
昔の人は薬草である菖蒲(しょうぶ)を軒先にかかげ、菖蒲の葉や根をお酒に入れて飲み、お風呂に浮かべて入りました。
やがて「菖蒲」が「勝負」「尚武(武道をたっとぶという言葉)」に通じることから武家屋敷で盛大に祝うようになります。
武士の家で男の子が生まれると玄関の前に兜や人形などを飾り、幟(のぼり)や吹流しを立ててお祝いしたのです。
そして、次第に庶民の間でも五月人形や鯉のぼりを飾ってお祝いするようになりました。
最近では本格的な鎧や兜、武者人形だけでなく、ちりめんや陶器の五月人形も多く見られるようになりました。
五月人形の商品には色々な種類があるので、お子様の初節句のお祝いにどれを購入したらいいのか、お悩みの方も多いのではないでしょうか?
今回は若いお母さまを中心に人気が出てきている「ちりめんの五月人形」に注目してご紹介したいと思います。
アルミや真鍮など金属製が多い五月人形ですが、ちりめん素材のもあります
「端午の節句」に飾られる昔ながらの五月人形はアルミや真鍮などを使って作られたものがほとんどなのですが、最近は「ちりめん」等の柔らかい印象のある布素材の五月人形が多く販売されています。東玉の五月人形の種類の中で、木目込みで作った兜「奏」シリーズも布地を利用した五月人形で、本物の兜からは見た目が違っているのですが、木目込みの技術と最高の素材を揃えた兜シリーズで柔らかい雰囲気が人気の兜もあります。
「ちりめん」とは表面に細かい「しぼ(凹凸)」がある絹織物のことで、300年ほど前より着物の材料などとして使われてきた素材です。その頃から、着物の余り布などを縫い合わせて、花や動物などを作っていたと言われています。
現在はひな祭りなどで飾る「つるし雛」などでよく知られており、その人気から男の子バージョンで五月人形の商品にもちりめん素材が多く見られるようになりました。
年々、鎧や兜、子供大将飾りに鯉のぼりなど、ちりめん細工のバリエーションも増えています。
ちりめんで作られた五月人形はコンパクトなサイズのものが多く、優しく可愛い風合いなので雄々しいイメージの鎧兜などの五月人形は少し怖いと感じる方にはおすすめです。
また、本やインターネットで検索すれば自分で作ることが出来るのもちりめん細工の魅力ですね。
東玉でも「ちりめん細工講習会」を催しております。また手作りキットの販売も御座います。
詳しくは、東玉岩槻総本店まで、お気軽にお問合せ下さい。
関連記事:「五月人形の兜や鎧の種類を知って、お子様の初節句にそなえましょう」
ちりめん製五月人形の魅力は安全性。メリットとデメリットを知って選択肢に
ちりめんの五月人形と伝統的な五月飾り、どちらにしようかお悩みの方も多いかと思います。
どちらにもメリットとデメリットがあるので、ちりめんの五月人形にはどういったメリット・デメリットがあるのか、伝統的な五月人形と比較しつつ見ていきましょう。
ちりめんの五月人形のメリット
まず、メリットとしては以下の点が挙げられます。
- 軽くてコンパクト
- 危なくない
- 簡単に飾ることが出来る
- お手頃な価格帯が多い
- やわらかい雰囲気で親しみやすい
伝統的な五月飾りは真鍮という銅と亜鉛の合金などを使用しているため重みがありますが、ちりめんの五月人形は布地や綿などで出来ているため、なんといっても軽いです。
軽いだけでなくコンパクトなので飾る場所もとりやすく、簡単に飾ることが出来るのは魅力だと思います。
また伝統的な五月飾りですと付属の刀などで遊ぶお子さまも多いのでお母さまにとっては少し危ないと感じることもあるかもしれませんが、ちりめん素材でしたら安心感があるでしょう。
最近では和室のあるご家庭も少なくなりましたが、ちりめんの五月人形は洋風のお部屋にも違和感なく飾ることができるというのもメリットの一つです。
「戦いのイメージがあるので鎧や兜は少し怖い」と感じる方でも、手作り感のある優しい風合いのちりめんの五月人形なら、おしゃれな現代風のインテリアに合わせて楽しく飾ることが出来るでしょう。お節句とは別に、季節を感じる和雑貨としても人気があります。
またマンションなどの高層階で、ベランダにこいのぼりを揚げることが難しい環境のご家庭でも、室内に飾ることのできるちりめん素材のこいのぼり飾りも人気があります。時間をかけずに飾ることができるのも魅力の一つです。
価格帯も5000円~15000円くらいのものが多いということもあり、ちりめんの五月人形がもつ最大の特徴は手軽に購入でき、手軽に飾れる点なのかもしれません。
ちりめんの五月人形のデメリット
今度は、ちりめんの五月人形のデメリットについて見てみましょう。
- 修理をあまりやっていない
- 伝統的な五月飾りより傷みが早い
- 男の子の五月人形に「可愛らしい」は適切なのか?
- 豪華さや特別なお祝いとしては負けてしまうかも
まずは修理の点が挙げられます。
小さなお子様がいると、つい何かの拍子で五月人形が壊れてしまうということもあります。ちりめんなどの布素材ですと、当然金属製の五月人形よりも痛みやすく、耐久性は落ちてしまいます。
人形専門店で販売されている伝統的な五月人形ですと、購入した店舗に頼んで修理をすることが可能ですが、ちりめん細工の修理を受けている店舗はあまりありません。(破損の箇所、程度により修理不能の場合もございます。)
ちりめんの大きな特徴は「可愛らしい」ですが、男の子に「強くたくましく育って欲しい!」という願いを込めて飾る五月人形に「可愛らしい」が適切かどうかという点も考えなければなりません。
ちりめんの五月人形と伝統的な五月人形を比較すると、どうしてもちりめんの五月人形に対しては「可愛すぎる」「伝統的な五月人形を見た後だとおもちゃに見えてしまう…」というお客様もいるようです。
またちりめん五月人形は、一般的に和小物と呼ばれる季節の飾りとの線引きが難しいように思われます。一つ一つ手作りのちりめん五月人形もありますが、中には大量生産品で、出来も良くなく、お子様の初節句にふさわしいとは言いづらいちりめん五月人形もあり、あまり安価な物は避けたほうが良いでしょう。
日本の伝統では怖いものには厄除けの力があるものも多いですし、お守りにするには少し怖いくらいの方が心強いかもしれないですね。
それに、豪華さや特別なお祝いギフトとして考えると、やはり同じ手作りでもちりめん素材のものは本格的な五月人形には負けてしまうと感じる方も多いですね。
しかし、コンパクトでやわらかくて可愛らしい風合いは、やはりちりめんの五月人形の魅力です。
ちりめん素材のメリットとデメリットも、お好みの五月人形をお選びになる参考のひとつとしてご利用ください。
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ちりめん製が「可愛らしすぎる」という男の子には本格的な五月人形を
本物にふれる経験をプレゼント。
100円均一やファストファッションなどが溢れる世の中。良いものを長く大事に使うという感覚を忘れがちになります。
伝統工芸を守りたいと思う人形屋、職人はお子様の大きくなるまでのお守りとして、伝統的な五月人形を選んで頂きたいというのも本音です。
ですので、怖い、インテリアに合わないなどの声から出来た最近の五月人形をご紹介させて頂きます。
加藤峻成作「大地」
- 峻成・彩り 兜飾り「大地」:重厚感のある茶塗の兜に、吹き返しに龍村裂を使用した品格のある兜飾りです。飾り方も「屏風飾り」とコンパクトに飾れる「衝立飾り」と2通りの飾り方が楽しめます。彩り兜シリーズでは一番の人気になっています。
商品詳細
関連記事:「「兜(かぶと)」は名匠や技巧で選ぶのがおすすめ!」
端午木目込シリーズ「奏・音音」
- 木目込兜飾り 奏 「音音」:白と金、銀を基調にしたお飾りです。吹き返しや後ろのシコロの部分には、見る角度によって光り方が変わる青色や緑色のホログラムを織り込んだ布地を使用しております。可愛らしさの中に気品が感じられる兜です。
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関連記事:「岩槻の五月人形は300年の歴史に積み重ねられた匠の技に支えられています」
本物はカッコイイ。
小さい頃は怖いと泣いてしまうお子様もいらっしゃいます。
しかし、大きくなるにつれてかっこいいものが好きになる傾向があります。
男の子に人気がある番組や商品にも鎧や兜、戦国武将をモチーフにしたものが多くみられます。
そしてそれらはみな強いだけでなく優しさと困難に打ち勝つ力を持ち合わせています。
そんな鎧兜を職人はひとつひとつ磨き上げてきた技を使い思いを込めて製作しています。
審美眼を養うことは美しいもの見る力を指すことだけではなく物事を見極めることにも繋がるといいます。
東玉では伝統の技術を受け継ぐ甲冑師が技巧を凝らした本格的な五月人形を豊富に取り揃えておりますので、ぜひこちらよりご覧ください。
- 木目込兜飾り 奏 「天音」:青い吹返しが高貴な印象の兜です。鍬形はマグネット式で簡単に取り外せ収納時もコンパクト。屏風の花菖蒲は端午には欠かせないお花です。
商品詳細
- 木目込鎧飾り 風 「碧風」:衣裳は紺碧な青空をイメージしたさわやかな碧色で天然染料で染められた「草木染め」です。木目込み部分には金糸を木目込むなど匠の技が各所に使われています。大変コンパクトでリビングや玄関にもぴったりお飾りいただけると思います。「組子細工」の美しさを際立たせる連続した繊細な紋様は圧巻です。
商品詳細
- 端午木目込人形 「御所童子 司」:端午木目込シリーズの最高級品 「人形彫刻家・磊(らい)」が原型を製作しています。優しさ、強さ、上品さを兼ね備えたお顔は、瞳や髪の毛など細部に至るまですべて手描き。精緻な筆運びで奥行きのある表情が生まれます。背後の屏風も、松と鷹が手描きで描かれた高級品です。
商品詳細
人気の名将シリーズの着用兜「25号 上杉」
- 収納 着用兜飾り「着用兜 25号上杉・陣羽織」:シックな黒塗の収納箱にオリジナルの三歳用陣羽織を飾る独特で品のある商品です。お子様が三歳になった時、兜を被り、刀を持ち陣羽織を着て記念写真を撮ることをイメージして制作いたしました。お子様との思い出がより一層深まることだと思います。兜は、上杉謙信公をモデルとしており、日輪の部分には龍の細工が施されております。上杉謙信公は戦でほとんど負けなかったことから軍神とよばれていたそうです。
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優しい風合いのちりめんの五月人形、伝統的な五月人形、今回は出てきませんでしたが、鋳物や陶器で出来たもの。五月人形には様々な素材やデザインがあります。
お好みや考えが人それぞれのように、端午の節句のお祝いの仕方も飾る五月人形もたくさんあるのです。
時代と共に私たちを取り巻く環境は目まぐるしく変化し続けていますが、お子様の健康と幸せ、それを願う周りの皆様の想いは今も昔も変わりません。
お祝いをして楽しかった、嬉しかった気持ち、家族の絆を次の世代へと繋いでいくことが願いです。
大切なお子さまの初節句のために、納得のゆく五月人形選びができますように。