五月人形も、兄弟一人に一つずつ必要です。
男の子の赤ちゃんが生まれた時の「初節句」には五月人形を贈ります。
それは長男だけでなく、次男や三男が生まれた時のお祝いでも同じです。
「お兄ちゃんの五月人形を兄弟で仲良く使えばいい」と思うかもしれませんが、実は五月人形というものは、一人ひとりの男の子に必要なものなのです。
お父様方の中には「自分が大切にしてきた五月人形を息子に…」という方もいらっしゃるようですが、五月人形を受け継ぐというのもあまりおすすめできません。
しかし、どうして五月人形は共有や継承がよくないのでしょうか?
その理由は、ひな人形や五月人形などの節句人形が持つ役割にあるのです。
五月人形の役割とは?
ひな人形や五月人形について、よくお客様から寄せられるのは「二人目の子供にもお人形は必要ですか?」というご質問です。
それにお答えするために、少し五月人形の歴史を見てみましょう。
身代わりとしての五月人形
雛人形の場合は、子供の厄や災いを「身代わり」として引き受けるという役割があるので、ご姉妹でそれぞれ一つずつのお飾りをされることが必要とされています。では、男の子の五月人形の場合はどうなのでしょうか?
「身代わり」という点からみると、鎧や兜であっても「人形」の分類に入ります。現代のように医学が発達していなかった時代には、祈祷師による「厄祓い」のときに、子供の「うつせみ(身代わり)」として「這子(ほうこ)」と呼ばれる人形等が使われたといわれています。それが後に女の子の「ひな人形」になり、男の子の場合は「鎧や兜」という形になっていったようです。
ですからひな人形と同様に、五月人形も長男、次男、三男と兄弟それぞれの「身代わり」が必要なのです。
戦いから守ってくれる五月人形
「端午の節句」に飾られる兜や鎧、武者人形には、武家の時代には「家系を守る」という役割もありました。
武家社会の家長制度の中では、家名を代々引き継いでいくという「長男の使命と強さの象徴」として、兜や鎧が飾られていたのです。
五月人形が飾られるようになったのは、江戸時代からだと言われます。
当時の武家屋敷では「嫡男(長男)」が生まれると、玄関先に兜や槍、「幟旗(のぼりばた)」などを飾って「跡取りの誕生」を知らせてお祝いしました。
武家社会では長男はやがて家長となり「戦(いくさ)」に出かけるものでした。
ですから、戦いで身を守ってくれる兜や鎧を飾ることで、男の子の無病息災や戦での活躍、そして家名の存続を願ったのです。
そうした光景を見た庶民達も、端午の節句に厚紙で作った兜や人形などを飾るようになりました。
さらに江戸時代の中期を過ぎると、武家の「幟旗」に対して、庶民の間では「鯉のぼり」を飾るようになったようです。
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現代の五月人形の役割
時代とともに家長制度は廃れ、今は「戦」もありません。
「跡取り(長男)が一番大事」という考えは古く、次男も三男も「みんな大切な子供たち」なのです。
ですから長男と同じ様に、次男や三男の子供にもそれぞれの五月人形を災から守る「身代わり」としてご用意しましょう。
それに現代でも広い意味では様々な「戦い」が存在します。たとえば「受験戦争」や「企業戦士」などという言葉がありますが、そうした「現代の戦」ともいうべき状況に立ち向かうときにも五月人形は子供を守ってくれることでしょう。
そう考えると五月人形は、幼い男の子の健やかな成長を見守るだけでなく、もっと長い期間の「お守り」になりますね。
このような五月人形のもつ全ての役割が、長男に限らず次男、三男にもそれぞれの五月人形が必要とされる所以なのです。
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五月人形は、長男が鎧、次男はコンパクトがおすすめ!
五月人形に子供の「厄を受ける身代わり」の役目がある以上、それをご兄弟で共有したり、親から子へ、長男から次男へ譲るのはあまりいいことではありません。
とはいえ現代の生活様式において、お一人ずつの兜や鎧をご用意することは、飾る場所や価格などの面からも、なかなか難しいかと思います。ですから東玉では、ご次男やご三男の男の子には、ご長男よりも少し小さなサイズの五月人形をおすすめしております。
実際、ご長男には鎧飾りで、ご次男・ご三男には兜を贈られたり、またはご長男に兜飾り、そしてご次男・ご三男には小さめサイズの兜飾りを購入するといったケースがよく見られます。
東玉では、ご長男の初節句にふさわしい豪華な「鎧飾り」を豊富にご用意しております。ぜひご覧ください。
- 鎧飾り「5号 羅漢」:コンパクトな鎧セットながら、フォルムの綺麗さと雄々しさを感じさせます。威し方は褄取威で、片側の端を斜めに色をかえいます。鍬形は本金鍍金仕様で、さらに金の屏風により鎧を目立たせています。
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- 鎧飾り「7号 金茶中白縅」:屏風には龍虎の柄が施されていています。正絹縅を使用し、とでも勇ましい鎧飾りです。
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- ケース入り 鎧飾り「TK74-No4 5号徳川」:前面アクリルのお洒落な八角形のケースです。バックには松の絵が描かれており、松は常緑であることから永久や不変を意味します。赤威の鎧が勇ましさを感じさせます。
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次男におすすめのコンパクト兜
ご両親的には「どの子にも同じくらい深い愛情を注いでいる」とはいえ、やはり幼いご次男やご三男の視点から見ると「お兄ちゃんには五月人形があるけど自分にはない」というのは少し寂しく感じると思います。
おそらく「いいな~お兄ちゃんは!なんで僕の分は無いの?僕も自分のお守りほしい!」と思ってしまうのではないでしょうか?
ご次男やご三男にはコンパクトな兜飾りを!
長男の初節句の時にはご実家から立派な五月人形を頂いたけれども、次男・三男と続くと、あまりご実家に負担をかけたくないと思う方もいらっしゃいます。
とはいえ、子供の人数が増えると家の中の物も出費も増えますから、ご次男やご三男にもご長男と同じランクの五月人形を用意するというのは大変でしょう。
そうしたお悩みをお持ちの親御様には、飾る場所や価格に配慮したコンパクトな「収納飾りタイプなど玄関にもお飾りいただける五月人形」をおすすめしております。
- 収納 兜飾り「10号 悠達」:兜は、伊達政宗公をモデルとしています。立体的な三日月の鍬形は品格があります。屏風には、綺麗な松と鷹が描かれたデザインで、兜と収納箱がコーディネートされたコンパクト兜収納飾りです。
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- 収納 兜飾り「12号 悠銀」:銀で統一されたとても魅力のあるコンパクト収納セットです。鍬形は立体仕様で勇ましさを演出し、吹返しには龍の彫金を施しています。
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- 草木染 収納飾り 「7号 悠叶」:グリーンの兜に二色で染めた黄色(えんじゅ)と緑(よもぎ)の草木染で染め上げた縅に吹き返しにも緑(よもぎ)色の草木染を使って兜がより映える様に屏風にも草木染を使用しています。コンパクトで洋室と和室のどちらにも合う落ち着いた色合いの兜飾りです。
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ご次男やご三男におすすめの木目込シリーズ
ご長男には甲冑飾り、ご次男・ご三男には「子供大将飾り(武者人形)」を選ばれる方も多くいらっしゃいます。子供大将飾りは、愛らしい顔をした幼子が戦国武将や金太郎など童話の主人公の格好をした五月人形です。
お顔のあるタイプの五月人形ですと、次男には伊達政宗、三男には金太郎というように、子供のイメージなどに合わせてお選びいただけます。
東玉ではご次男やご三男への贈りものとして、優しい色合いと木目込のもつ温もりのある風合いが魅力の「端午木目込シリーズ」の五月人形もおすすめしております。
こちらは岩槻の伝統技法である「木目込」で作られた五月人形で、躍動感のある可愛らしいお顔と洋風インテリアにも溶け込む風合いは、特に女性のお客様にご好評いただいております。
木目込みの兜飾りやお人形には優しさや温かさもありますし、コンパクトに飾れるものも多いので、金属の兜飾りとはまた違う風合いのものを飾ることで、端午の節句にまた華やかに演出ができますね。
人気のお顔付き端午木目込人形シリーズをご紹介します。
- 端午木目込人形 「皐月童 陸」:端午木目込人形シリーズの健康優良児「陸(りく)」。可愛いけれど堂々とした男児です。きりっと結んだ口元、もちもちのボディーは、生まれて間もない赤子の生命力が感じられます。名前の「陸」は大地のように堂々とした男子にご成長されるよう願いを込め命名いたしました。
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- 端午木目込人形 「皐月童 凜」:「五月人形の新しい風」 端午木目込人形シリーズの中で人気ナンバーワン・皐月童「凜」(りん)。我が子を想わせる可愛い表情が人気です。造形は、幼子が太刀を片手に凛々しく空を見上げた「動」の瞬間を切り取った、東玉工房オリジナルの原型です。飾るほどに愛着が増す、新しい五月人形です。
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- 端午木目込人形 「皐月童 航」:えくぼが可愛い表情で、槍を持ち見得を切ったような子どもの躍動感あふれる一瞬を切っとった造形です。背後の衝立は、男児の節句飾りに縁起の良い「蜻蛉」(とんぼ)と「沢瀉」(おもだか)のデザインです。
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よりコンパクトにお飾りした場合は木目込兜・鎧「奏・風」シリーズがおすすめ
- 木目込兜飾り 奏 「藤音」:淡紅藤色の正絹織物と金箔押の鍬形のコントラストが美しく、高級感あふれる兜です。丸台と同じスカイブルーをラインで施した屏風には子孫繁栄や長寿の願いを込めた藤の花があしらわれております。統一感のあるモダンな色合いのため、リビングなどの洋間によく合う兜飾りです。
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- 木目込兜飾り 奏 「天音」:青い吹返しが高貴な印象を与える兜です。鍬形はマグネット式で簡単に取り外せるので収納時もコンパクトです。屏風の花菖蒲は端午には欠かせないお花です。
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- 木目込兜飾り 奏 「音音」:白と金、銀を基調にしたお飾りです。吹き返しや後ろのシコロの部分には、見る角度によって光り方が変わる青色や緑色のホログラムを織り込んだ布地を使用しております。可愛らしさの中に気品が感じられる兜です。
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- 木目込鎧飾り 風 「碧風」:衣裳は紺碧な青空をイメージしたさわやかな碧色で天然染料で染められた「草木染め」です。木目込み部分には金糸を木目込むなど匠の技が各所に使われています。大変コンパクトでリビングや玄関にもぴったりお飾りいただけると思います。「組子細工」の美しさを際立たせる連続した繊細な紋様は圧巻です。
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まとめ 五月人形はその子の「お守り」
雛人形と同様、五月人形は子供を災いから守る「身代わり」、そして「お守り」となるものです。ご両親やおじい様おばあ様にとって、どの子も健やかに育ってほしいという気持ちは同じです。五月人形はそのご家族の愛情を込めて飾るものですから、出来ることなら兄弟同じように形として思い出を残してあげていただきたいと思います。ご兄弟で仲良く過ごした「こどもの日」の思い出や五月人形は大きくなってからも記憶に残るものになるでしょう。
子供一人ひとりの健やかな成長と幸せを願う五月人形を、ご長男と同じ様にご次男・ご三男のためにも飾ってあげて、ご家族そろって楽しく端午の節句のお祝いしましょう。