「五月人形」と「鯉のぼり」実は由来が別なんです!
「端午の節句」には、五月人形や鯉のぼりを飾って「男の子のお祝い」をします。
季節行事である「端午の節句」は、日本にある「五節句」のひとつです。
「季節の変わり目(節句)」には病気になりやすいので、医療の発達していなかった昔は「厄払い」の風習や「神様にお供えをして無病息災を祈願する」行事がよく行われていたのです。
現在でも「端午の節句」には、五月人形と一緒に菖蒲(しょうぶ)を飾ったり、たけのこご飯や柏餅など伝統的な節句料理を食べたり、菖蒲湯につかったりという風習が残っていますが、これらひとつひとつにはすべて意味があるのです。
女の子のお祝いをする「上巳の節句(ひな祭り)」には、ご両親が「女の子の健やかな成長や幸せな結婚を願って」雛人形を飾ります。
では、男の子のお祝い「端午の節句」には、どうして鎧兜飾りなどの「五月人形」や「鯉のぼり」を飾るようになったのでしょう?そこにも絶対に「親から子供への願い」がたくさん込められているはずです!
五月人形は「内飾り」で、鯉のぼりは「外飾り」と目的も違います
端午の節句に飾る五月飾りは、「内飾り」と「外飾り」の2種類に大きく分けられます。ただ、地方によっては内飾りだけ、外飾りだけの風習のところがあるようです。
外飾り
外飾りとは名前の通り、「鯉のぼり」や「武者絵幟(むしゃえのぼり)」など、屋外に立てて飾るものです。
庭にポールを立て空にあがった「吹流し」の下に黒・緋・青の鯉が泳いでいる「鯉のぼり」はみなさんご存知だと思います。
こいのぼりは、「子供に鯉のように元気よく育ってほしい」という親の願いを込めて揚げるものです。空に大きくたなびく鯉は「立身出世の象徴」でもあります。
「武者絵のぼり」は、もともとは「節句のぼり」という名前だったのですが、「源義経」や「加藤清正」などの武者の絵が描かれることから「武者絵のぼり」という通称になりました。
「のぼり」というのは、細長い旗(はた)のようなものです。
しかし実際は、武将だけでなく「川中島の合戦」などの有名な合戦や、龍虎、や怖い顔をした「鍾馗様(しょうきさま)」などの「武者絵のぼり」があります。
「鍾馗様」は、「魔除け」や「学業成就」の願いを込めて飾るもので、他にも屏風や掛け軸に描かれたりしますが、端午の節句の飾り物としては「武者絵のぼり」と人形の形をした「鍾馗像」があります。特にお子様が喜ばれる「鯉のぼり」は、近年コンパクトになりつつも全国的に飾られています。一方「武者絵幟(むしゃえのぼり)」が飾られる地域は、鯉のぼりと比較すると多少地域差がみられ、特に山梨・長野・高知・九州などの地区でよく飾られているようです。
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内飾り
内飾りとは室内に飾るもので、通常「五月人形」という言葉でくくられるお飾りのことです。
五月人形には「甲冑飾り(鎧飾り・兜飾り)」や「武者人形(子供大将人形・童子人形)」などがあります。
内飾りの五月人形は「子供の健やかな成長を願って」室内に飾ります。
武士の防具であった「鎧(よろい)」や「兜(かぶと)」を飾ることで、大切なお子さまを「災厄から身を守ってくれるお守り」とするのです。
鎧甲冑は武士が戦いのときに身に着けたものですから、もちろん昔の親は男の子に「強くたくましい立派な武将になってほしい」という願いを込めて飾ったのでしょうね。
雄々しいイメージの武将の鎧甲冑は、昔からお祖父さま方やお父さま方からの支持が高いです。少し大きくなった男の子には、やはり着用型の兜飾りに陣羽織がセットになったものが大人気です。
東玉でもお子さまが戦国武将の気分になれる「陣羽織付きの兜飾り」の商品を取り揃えております。
- 収納 着用兜飾り「着用兜 25号上杉・陣羽織」:シックな黒塗の収納箱にオリジナルの三歳用陣羽織を飾る独特で品のある商品です。お子様が三歳になった時、兜を被り、刀を持ち陣羽織を着て記念写真を撮ることをイメージして制作いたしました。お子様との思い出がより一層深まることだと思います。兜は、上杉謙信公をモデルとしており、日輪の部分には龍の細工が施されております。上杉謙信公は戦でほとんど負けなかったことから軍神とよばれていたそうです。
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- 収納 着用兜飾り「着用兜 25号家康・陣羽織」:シックな黒塗の収納箱にオリジナルの三歳用陣羽織を飾る独特で品のある商品です。お子様が三歳になった時、兜を被り、刀を持ち陣羽織を着て記念写真を撮ることをイメージして制作いたしました。袱紗と前立に葵紋が特徴の兜です。葵は常に太陽の光を追う向日性の植物であり、茎を長く伸ばしながら光に向かって伸び育つという性質から発展するという意味合いがあるそうです。
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「武者人形(むしゃにんぎょう)」は「子供大将飾り」や「童子人形」とも呼ばれるもので、出世太刀、若殿、弁慶などの武将のデザインのものや、金太郎や桃太郎、獅子舞や蹴鞠人形など、バリエーションの幅がとても広いです。
あどけない顔の男の子が凛々しく英雄の格好などをした可愛らしい人形なので、お母さま方が選ばれることが多いです。
人形は昔から災厄を人の身代わり(形代)になってくれると言われています。五月人形にはお子さまの健やかな成長と、強く逞しく育って欲しい親の願いが込められています。
東玉でもお子さまの健やかな成長を見守る「端午木目込みシリーズの子供大将飾り」の商品を種類豊富にご用意しております。是非こちらよりご一覧ください。
- 端午木目込人形 「皐月童 陸」:可愛いけれど堂々とした男児「陸」。きりっと結んだ口元、もちもちのボディーは、生まれて間もない赤子の生命力が感じられます。名前の「陸(りく)」は大地のように堂々とした男子にご成長されるよう、願いを込め命名しました。
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- 端午木目込人形 「皐月童 聡」:お子さまが優しく聡明にご成長されるよう願いを造形に込め製作した「皐月童・聡(あきら)」。優しさのなかに、強さを秘めた表情は、端午木目込シリーズの中で「長男」的な存在です。徳川兜と黒の紗冠の二通りの飾り方でお楽しみいただけます。
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五月人形の由来は日本の江戸時代ですが、鯉のぼりの由来は中国の滝!?
五月人形の由来
もともと「端午の節句」というのは、古代中国の「陰陽五行説」に基づいた「邪気払い」に由来します。日本では奈良時代から宮中で「端午の節会(せちえ)」をするようになり、その時期には「厄除け」のために「菖蒲(しょうぶ)」を飾ったり、薬草をつんでつくった「薬玉」を贈り合ったりしていたと言われます。
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日本の「端午の節句」で「五月人形」を飾ることが一般的になるのは、江戸時代です。
もともと端午の節句には「菖蒲(しょうぶ)」を飾っていたのですが、武士の間では「菖蒲の葉を刀に見立てて飾った」り、「菖蒲」という言葉を「勝負」や「尚武(しょうぶ:武を重んじる)」とひっかけ、端午の節句を「菖蒲(尚武)の節句」と呼び始め、武士にとって大切な節句と考えるようになりました。
当時の武家社会では、戦に使う「鎧」や「兜」などの武具は非常に大切なものでした。ですから、梅雨を迎える前に武具を出して屋外で虫干しをする習慣がありました。時期的に同じだったこともあり、そこから「端午の節句に鎧兜を飾って跡取りの男の子のお祝いをする」という風習が生まれたと言われます。始めは外に飾っていた武具はその後小型化し、現在のように室内に鎧兜を飾るようになったのです。
武具は戦いの道具ですが、「鎧」や「兜」は身を護る大切な防具でもあります。「大事なわが子を守ってくれるように」との願いを込めて現在でも五月人形を飾るのは、このように武家社会文化の名残なのです。
東玉でも大切なお子さまのお守りとなる五月人形の商品を種類豊富にご用意しております。是非こちらよりご覧ください。
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鯉のぼりの由来
いっぽうの端午の節句に揚げる「鯉のぼり」は、実は江戸時代の庶民がもっていた「武家社会での風習のあこがれ」から生まれたものなのです。
江戸時代には、将軍に大切な世継ぎの男の子が生まれると「幟旗(のぼりばた)」を立ててその誕生を知らせ、槍や兜などを飾って盛大にお祝いしていました。「幟旗」の由来は戦の「軍旗(ぐんき)」です。
それを受けて、武家屋敷でも勇ましい幟旗を立てて「近隣や天の神様に世継ぎの誕生を知らせる」ようになりました。そして端午の節句には、家の外につくった柵に「幟旗」や「槍・兜」などを飾ってお祝いするようになったのです。
本来は武具のひとつだった「幟旗」は、江戸時代に「武者絵のぼり」として発展しました。絵師によって「男児成長祈願の美しい絵」が描かれ、「節句のぼり(武者絵のぼり)」として広まりました。
ですが、江戸の庶民は武士のような「武具や幟旗」は持っていませんでした。ですから、紙で「鎧兜」や「鯉の形の幟旗」を作って端午の節句に飾るようになりました。
このとき庶民が「のぼりのデザイン」に鯉を選んだのは「登竜門伝説」に由来します。「登竜門伝説」の「鯉が激しい竜門の滝を登り切ると竜になる」という話から「鯉は立身出世の象徴」となったのです。さらには「鯉」という魚はとても元気で、どんな水(場所)でも生きられるといいます。
そういったことから「子供が元気よく育ち、立身出世しますように」という願いを込めて「鯉のぼり」を飾るようになったのです。
鯉の伝説はとても有名で、今でも成功する事が難しい関門を突破することを表すときの慣用句やことわざで「登竜門」や「鯉の滝登り」などの言葉が使われています。
なお、鯉のぼりの上にある「吹流し」は、鯉のぼりを目立たせて「より神様の目にとまるようにして子供を守ってもらう」ためのものです。さらに「吹き流しの五色」には「陰陽五行説」で「物事をうまく運ぶ」という意味も込められています。
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近年の住宅事情では鯉のぼりをあげるのは難しいですが、五月人形はコンパクトに飾りやすく進化
以前は「端午の節句の象徴」であった「鯉のぼり」ですが、昨今では大きな鯉のぼりを揚げられる庭付きの住宅に住む人は減ってしまいました。
五月人形と鯉のぼりの現状
現代は小母化・少子化が進んでいることもあり、昔のように5匹以上の鯉のぼりを飾ることは少なく、「黒い真鯉・赤い緋鯉・青や緑の子鯉」程度ということがほとんどです。
五月人形の方もアパートやマンション暮らしの方が増え、「大きくて立派な鎧飾りや豪華な段飾りは置けない」という方が増えています。
さらに現代では、洋風の間取りやインテリアに合わせられるタイプの五月人形が求められているのです。
コンパクトな「五月人形」や「鯉のぼり」
そういった住宅環境や生活スタイルの変化から、今は五月人形や鯉のぼりのサイズやタイプも進化しています。
最近の鯉のぼりはコンパクト化し、マンションなどのベランダに設置できるタイプのものや室内に飾れる商品も多く販売されています。
あまりスペースがなくても鯉のぼりが飾れるよう、最近の五月人形は鎧飾りや兜飾りにミニ鯉のぼりをセットにして販売されていることが多いです。
室内で飾れる「室内鯉のぼり」や「つるし飾り」など兜飾りの横に飾るタイプの鯉のぼりもあります。東玉では可愛いタイプからかっこいいタイプ、木目込の鯉のぼりなどもありますので、ぜひご覧ください。
室内鯉のぼりはこちらから
- 峻成・彩り 兜飾り「5分の1 赤糸長鍬」:等身大の五分の一の縮尺を参考に製作しました。コンパクトながら高度な技術を要する「手並べ小札」を使用した本格的な兜となっています。飾り台はコンパクトで、鯉のぼりがついたとてもかわいい台となっています。
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- 端午木目込人形 「皐月童 凜」:「五月人形の新しい風」・端午木目込人形シリーズのなかで人気No.1 皐月童・凜(りん)。我が子を想わせる可愛い表情が人気です。造形は、幼子が太刀を手に凛々しく空を見上げる「動」の瞬間を切り取った東玉工房オリジナルの原型です。飾るほどに愛着が増す新しい五月人形です。
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五月人形の方も、商品自体の大きさや飾り方タイプが、どんどんコンパクトになってきています。
現在もっとも人気があるのが「収納飾り」タイプの「鎧飾り」や「兜飾り」です。
「収納飾り」では、鎧や兜の本体とセットの弓太刀などのお道具がすべて収納箱に収まるので取り扱いも楽で、収納棚にもコンパクトに収まります。
最近需要が増えた「収納飾り」は、比較的リーズナブルでシンプルな商品から本格的な作家が作った豪華な鎧兜飾りまでとバリエーションが豊富です。
- 収納 兜飾り「10号 悠達」:兜は、伊達政宗公をモデルとしています。立体的な三日月の鍬形は品格があります。屏風には、綺麗な松と鷹が描かれたデザインで、兜と収納箱がコーディネートされたコンパクト兜収納飾りです。
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- 彩宴 兜飾り「5号 白合鉢大鍬E」:丸型で木目調のアクリル兜飾りです。兜には白色の合わせ鉢仕様で、松葉中鍬形が高級感のある可愛らしい兜です。ナチュラルな飾り台は出窓や玄関にも飾れるコンパクトサイズで洋間にも和室にも合います。
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- 峻成・彩り 兜飾り「5分の1 白糸縅」:5分の1 白糸縅は、コンパクトながら高度な技術を要する「手並べ小札」を使用した本格的な兜となっています。飾り台は出窓や玄関にも飾れるコンパクトサイズで、兜の横にワンポイントの菖蒲のお花を飾ることで、インテリアの雰囲気を強調しました。
商品詳細
東玉の「収納飾りタイプの五月人形」はこちらからご覧ください。
「ケース入り」タイプは、中の五月人形が固定されている商品がほとんどなので、実際に収納する時に収納飾りほどコンパクトにはならないのですが、「移動やお手入れが楽な上に小さい子供がいても安心」という理由で購入される方が多いです。
東玉でも弓太刀などがセットになった「ケース飾り」の鎧兜の商品を豊富に販売しております。
- ケース入り 兜飾り「上杉茶兜」:ケースは、六角形になっており割れにくいアクリル仕様です。六角形は亀の甲羅を表しており、亀は寿命の長い動物であることから長命・長寿の象徴とされています。黒と茶のコントラストはとても品のある雰囲気があります。前にある太刀は護身のために飾られています。太刀の台座・兜の吹返し・後ろの柄には龍が施されており、龍はとても縁起がよく、出世や上昇志向の願いが叶うなどの意味合いがあります。
商品詳細
- ケース入り 鎧飾り「5号 特選大鎧」:緑裾濃の威が生命力を感じさせる鎧です。ケースはお洒落な八角形になっています。バックの山水の蒔絵が豪華さとともに落ち着きを演出しています。
商品詳細
東玉の「ケース飾りタイプの五月人形」はこちらからご覧ください
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内飾りである五月人形は設置タイプだけでなく、デザインやサイズなど種類豊富な商品の中から、お好みや飾る場所のスペースなどによってお選びいただけます。
東玉でも大切なお子さまの成長を見守ってくれる五月人形の商品を種類豊富にご用意しております。是非こちらよりご一覧ください。
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晩婚化・少子化・核家族化・そして居住環境の変化に合わせて、現在では鯉のぼりや五月人形のサイズや飾り方タイプも豊富に販売されております。
しかし五月人形のサイズや飾り場所が変わっても、そこに込められた「元気に健やかに成長してほしい」という親から子への願いは今も昔も変わらないのです。
そうした願いはきっと子から孫、孫からひ孫へと受け継がれていくことでしょう。